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ソフバンクG孫社長、機動的自社株買い意欲-新ファンドは縮小へ

更新日時
  • 物言う株主も言わない株主も大切なパートナー、社外役員増も示唆
  • 「営業利益や売り上げは忘れていい数字」、株主価値こそ重要と強調

ソフトバンクグループの孫正義社長は12日の決算会見で、投資ファンドから自社株買いの実施を求められていることについて、資金の余裕がある状態での自社株買いは「基本的な私の考えと一致する」と述べた。

  孫社長は、「物言う株主も物言わない株主も大切なパートナーだ」と発言。より良い経営をするための意見は大いに歓迎し、企業価値が上がることは全ての株主の気持ちで、「仲間になって頂くことはありがたい」と言う。その上で、ソフトバンクGは社債も発行しており、格付けとのバランスを見ながら自社株買いの「タイミングと規模は今後考える」と話した。

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会見したソフトバンクグループの孫社長

  今月に入り、物言う株主のポール・シンガー氏が率いる米エリオット・マネジメントがソフトバンクG株を30億ドル近く取得したことが判明。関係者によれば、エリオットは現在のソフトバンクG株が保有資産に比べ割安とみており、最大200億ドルの自社株買いの実施を求めている。

  孫社長によると、エリオットの関係者とは10日から2週間ぐらい前に直接会ったという。エリオットが企業統治(コーポレート・ガバナンス)の改善を求めていることに関連し、同社長は「社外役員を増やしたい」との意向も示した。

  自社株買いの原資としてエリオットがアリババ・グループ・ホールディング株を挙げていることについては、「慌ててアリババ株を売るつもりはない」と否定した。ソフトバンクGは昨年2月の決算発表時に、過去最大規模となる6000億円を上限とする自社株買いを発表していた。

ビジョンファンド2号は規模縮小へ

  一方、孫社長は昨年7月に発表したビジョン・ファンド2号について、規模を縮小すると明らかにした。出資予定額の約1080億ドルも白紙にする。期間の短縮化も検討する。

  孫社長は「いろいろな反省も含めて、今回は少し規模を縮小してやるべきだと思っている」と発言。引き続きパートナーとして参加意向を示し、条件交渉中の投資家もいるが、「自らの資金だけでやる選択肢もある」と述べた。

  人工知能(AI)など世界のテクノロジー企業に投資するビジョン・ファンド2号は、ソフトバンクGが380億ドルを出資し、米アップルやマイクロソフトのほか、日本からはみずほ銀行や三井住友銀行、三菱UFJ銀行、第一生命保険、SMBC日興証券、大和証券グループ本社などと覚え書きを結んでいた。

  また、1号ファンドで最大の出資者だったサウジアラビア政府系のパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)やアブダビ首長国のムバダラ開発公社は含まれていなかった。

「営業利益や売り上げは忘れていい数字」

  同日発表した2019年10-12月期(第3四半期)決算は、投資事業のビジョン・ファンドからの営業損失が2251億円と2四半期連続の赤字となった。投資先の価値が下落したため。第2四半期もシェアオフィスの米ウィーワークの経営問題などが響き、約1兆円の巨額損失を計上していた。全体の営業利益は前年同期比99%減の25億8800万円だった。

  孫社長は、投資企業になった同社にとって重要なのは保有する株式価値がどうなったかであり、「営業利益や売り上げは忘れていい数字」と述べた。同社長によると、ソフトバンクGが保有する株式価値の合計は昨年9月末時点で20兆円だったが、きょう時点では25兆円に増えたと説明。同社の最重要指標は株主価値だと強調した。

関連記事:ソフバンクGのファンド事業が2四半期連続赤字、投資先価値下落

(会見内容の詳細を追記、全体を再構成します)
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