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新型ウイルス封じ込めで中国が逃した4つ節目-重要な最初の1カ月に

  • 当局がもっと迅速に行動していれば感染拡大ペース緩和できた公算も
  • 政府の初動遅れに対する市民の怒りの矛先は医師8人の摘発に向かう

中国人患者1人が新型コロナウイルス感染の症状を示していることに医師らが最初に気付いたのは2カ月余り前の昨年12月12日だが、このウイルスによって全世界で1700人余りの命が奪われたとされる。最初の患者が確認されてから数週間の間、当局はウイルスを封じ込める機会を何度も逃した。

  政府の初動の遅れに対する市民の怒りの矛先は、早期に警鐘を鳴らそうとした医師8人が1月1日に摘発を受けたことに向けられている。ただ、当局が市民への周知や移動・集会の制限に向けてもっと迅速に行動していれば感染拡大ペースを緩和できたとみられる節目が重要な最初の1カ月に他に少なくとも4回あったことが現時点で分かっている。

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華南海鮮市場(1月11日、湖北省武漢市)

Photographer: Noel Celis/AFP via Getty Images

12月26日:SARSのようなウイルスを検出

  湖北省武漢市で感染症例が現れ始めてから、中国の専門家らが研究を開始した。2月11日付の医学誌ランセットに掲載された論文によると、昨年12月26日には重症急性呼吸器症候群(SARS)に類似のコロナウイルスの存在が暫定的な遺伝子配列解析データで示唆された。中国の研究者らがこうした解析の公表を通じ新型ウイルスについて世界の専門家に警告を発したのはその17日後だった。

1月3日:ヒトからヒトへの感染への懸念

  中国疾病対策センター(中国CDC)は1月3日に武漢の感染者の濃厚接触者について監視を開始したと、その研究者らが1月29日付の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された論文で指摘している。ヒトからヒトへの感染が1月初めまでに懸念要因の一つになっていたことがうかがえる。

  論文は12月半ばに濃厚接触者の感染が始まったと分析したが、中国当局がヒトからヒトへの感染をようやく確認したのは1月20日。タイや日本で感染が確認された後だった。

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武漢の病院に患者を搬送する医療スタッフ(1月25日)

Photographer: Hector Retamal/AFP via Getty Images

1月7日:習近平国家主席が党内部に指示

  習近平国家主席は1月7日の党最高指導部の会議でウイルスの封じ込めを指示したと、2月3日の演説で明らかにしたとされる。演説の内容は2月15日に公表された。1月7日の国営メディアの報道では新型ウイルスに関して習主席のいかなる発言にも言及されていない。習主席が湖北省の6000万人余りを隔離するよう指示を出したとする日は1月22日。

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新型コロナウイルスの予防・抑制の取り組みを視察する習近平国家主席(2月10日、北京市)

Photographer: Pang Xinglei/Xinhua via Getty Images

1月9日:新型コロナウイルスの存在を確認

  中国国営テレビは1月9日、武漢市で既に多数の患者が罹患(りかん)していた原因不明の肺炎が、これまで特定されていないコロナウイルスによるものだと確認した。この週、中央政府はウイルスが深刻でないとの見解を引き続き市民に示していた。1月18日には武漢市の主催で春節(旧正月)を祝う夕食会が開かれ、4万世帯余りが参加した。

原題:
Four Key Dates, Four Missed Chances for China to Contain Virus(抜粋)

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