【先週の新興国市場】株・通貨が下落-ウイルス感染拡大でリスク回避
Bloomberg News-
通貨が昨年8月以来の大幅安、ドルは主に中南米通貨に対して上昇
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日豪の製造業指数が低下、中国が緩和・救済策を相次いで打ち出し
先週の新興国市場では通貨が昨年8月以来の大幅安。株式も下げた。新型コロナウイルスが企業業績や世界経済に悪影響を及ぼしている兆候が増えており、売りが膨らんだ。ブルームバーグが追跡する新興国通貨の大半が軟化した一方、ドルは主に中南米通貨に対して上昇した。トルコとインドネシアが利下げに踏み切ったが、エジプトは政策金利を据え置いた。
2月21日終了週の主なニュースは以下の通り。
ハイライト:
- アジアの主要国はすでにコロナウイルスの衝撃を既に感じ始めている。オーストラリアと日本の製造業指数が低下し、韓国の輸出額は中国需要の低迷を示唆した
- 中国人民銀行(中央銀行)は17日、中期貸出制度(MLF)経由で市中銀行に資金供給を実施した。新型コロナウイルスによる経済への影響を和らげるため、MLF資金の金利も引き下げた
- 中国の湖北省衛生健康委が20日に発表した新たな感染症例は集計方法の変更を受けて大幅に減少した。方法変更は1カ月で2度目
- 中国は米国との第1段階の貿易合意に依然コミットしていることを示すため、米国産農産物を3月上旬までに購入することを検討していると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした
- トランプ米大統領は18日、国家安全保障という「口実」の使い過ぎで米企業の中国との貿易を制限するのは望ましくないとの考えを示し、米ゼネラル・エレクトリック(GE)製ジェットエンジンの中国への販売を阻止しようとする政権内の動きに待ったをかけた
- インドネシア銀行(中央銀行)は20日、4カ月ぶりの利下げに踏み切った。新型コロナウイルス感染拡大で国内景気見通しが脅かされ、今年の成長率予測を下方修正した
- トルコ中央銀行は19日、政策金利引き下げを発表した。7カ月にわたる緩和サイクルの中で最も小幅な利下げを決めた
- レバノンを大手格付け会社2社が格下げした。ムーディーズは2段階引き下げ「Ca」に、S&Pは「CCC」から「CC」に引き下げた
国際通貨基金(IMF)は19日、アルゼンチンの債務水準が「持続不可能」との見解を明らかにした。同国の当局者との1週間にわたる一連の実務協議を経て声明を発表した
IMFのゲオルギエワ専務理事は16日、IMFが最後の貸し手として、アルゼンチンに対して融資のヘアカット(減免)は実施できないと述べた
資産別指数: | 週間 |
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MSCI新興市場指数(株価指数) | -2.0% |
MSCI新興国通貨指数 | -1.0% |
ブルームバーグ・バークレイズ新興市場の自国通貨建て国債指数 | -0.7% |
アジア:
- 人民銀がマクロプルーデンス評価枠組みの中で不動産関連ローンのクオータ調整を計画しているとの市場の臆測は間違っていると、人民銀が声明で明らかにした
- 韓国の康京和外相は訪問先のドイツで茂木敏充外相と会談し、対韓輸出管理厳格化の措置を撤回するためにより迅速な対応をするよう求めた
EMEA:
- トルコは米国に対し、迎撃ミサイル「パトリオット」2基を南部の国境に配備するよう要請した。トルコの高官が明らかにした。ロシアの支援を受けたシリア軍による攻撃に対抗する
- 米国はロシア国営石油大手ロスネフチの傘下部門に制裁を科した。ベネズエラのマドゥロ政権ならびに国営ベネズエラ石油(PDVSA)と関係を維持していることが理由
中南米:
- アルゼンチンはペソの統制を弱めている。2月前半の対ドルでのペソの下落幅は、統制を一段と強めて以降の月間の下げより大きかった
今週発表のデータ |
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原題:EM Review: Spread of Coronavirus Beyond China Saps Risk Appetite(抜粋)
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