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新型肺炎で緊急事態宣言を検討も、法改正で可能に-安倍首相

更新日時
  • 新型インフル特措法の対象になれば物資収容などで強制的措置も
  • 国家的な危機にあっては与党も野党もない。一日も早い成立を目指す

安倍晋三首相は4日午後の参院予算委員会で、新型コロナウイルス感染症を「新型インフルエンザ等対策特別措置法」を改正して適用対象とし、政府が緊急事態を宣言することも検討する方針を示した。

  国民民主党の森裕子氏への答弁。安倍首相は法改正後に緊急事態を宣言するかどうかについて「まさに専門家の皆さまのご意見を頂く中において検討、決定したい」と述べた。

  その上で、同法の規定する緊急事態宣言の要件は「全国的かつ急速なまん延により、国民生活および国民経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある時」であり、「現状はまさにそのような全国的な拡大に進むかどうか、収束できるかの瀬戸際の状況にある」との認識も示した。

  経済への影響については「世界経済の動向に十分注視しながら、インパクトに見合うだけの必要かつ十分な経済、財政政策を行 っていく考えだ」と述べた。「雇用を支えていく上において、しっかり対応していきたい」とも語った。

新型インフル特措法

  新型インフル特措法では、首相が緊急事態を宣言すると、都道府県知事は住民への外出自粛のほか、学校や映画館などの施設使用制限・停止、臨時の医療施設を開設するための土地使用、医薬品や食品の売り渡しを民間などに要請できる。従わない場合で特に必要な時は、物資の収用など強制的な措置に踏み切ることも可能としている。

  立憲民主、国民民主両党の議員からは現行法でも適用可能との主張が出ていたが、政府は対象は新型インフルエンザか未知の感染症に限られており、新型コロナウイルス感染症は原因となる病原体が特定されていることなどから現状では適用は困難との解釈を示していた。

  安倍首相は4日午後、立憲民主党の枝野幸男代表ら野党党首との国会内での会談後に記者団に対し、「最悪の事態も想定しながら緊急事態宣言など、もう一段の法的枠組み整備が必要であると判断した」と説明。その上で、「国家的な危機にあっては与党も野党もない。一日も早い成立を目指していきたい」と述べ、早期の法案成立を呼び掛けた。

  また、非常事態宣言を発動する可能性については「今そういう段階であるかと言えば、この1ー2週間が瀬戸際だ。そうならないように我々は今全力を尽くしている」と語った。

(7段落以降に与野党党首会談後の安倍首相の発言を追加し更新しました)
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