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武漢で新型肺炎患者を治療する医師らに聞く-学んだ教訓とは

新型コロナウイルスの感染が世界中に広がるにつれて、専門家は感染が最初に報告された中国湖北省武漢市で治療に当たってきた医師らの知見から、新型肺炎についてよりよく理解しようとしている。

  武漢で新型コロナウイルス感染症(COVID19)患者の治療と研究を行ってきた医療専門家らに、4日北京で話を聞いた。

潜伏期間と感染

  新型コロナウイルスは症状が現れるまでの潜伏期間が長いもようであるため、感染が確認される前に知らず知らずのうちに他の人にうつすリスクが懸念されている。

CHINA WUHAN TAZIHU TEMPORARY HOSPITAL

中国湖北省の仮設病院(2月21日)

フォトグラファー:ゲッティイメージズを通じてフィーチャーチャイナ/バークロフトメディア

  湖北省の武漢以外の都市の当局は2月22日に、1人の70歳男性のケースとして症状が現れたのは感染から27日後だったと報告した。

  コロナウイルスの治療を監督する中国の専門家チームのメンバー、ドゥ・ビン氏は、現時点の多くの報告を踏まえ、平均的な潜伏期間は5-7日、最長でも14日だと話す。

  一方、北京大学第一医院の呼吸器科副部長であるリー・ハイチャオ氏によると、最初は微熱など症状が軽く、10日後に急激に悪化する患者もいた。

  北京ユニオン医科大学病院の内科集中治療室(ICU)の責任者でもあるドゥ氏によれば、いったん回復した後に再びウイルス検査で陽性となった人が他の人に感染させ得るという証拠はこれまでのところない。

  5日には中国メディアが、 症状が回復しウイルス検査でも陰性になった武漢の男性が1週間以内に死亡したと報じたが、このリポートはその後インターネットから削除された。

若年層の死亡

  コロナウイルスの致死率は比較的低く、死者は主に免疫力の弱い高齢者や基礎疾患のある人だが、一部には若年層が死亡する例もある。

  ドゥ氏によると、高血圧や糖尿病などの基礎疾患があることや、非侵襲的人工換気や副腎皮質ステロイドの大量投与を長期間受けていたことが、比較的若い人が死亡する場合の主な要素だという。同氏は「若い」とする年齢範囲は明確にしなかった。

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武漢の病院でコロナウイルスに感染した患者を診察する医師(2月24日)

写真家:ゲッティイメージズのAFP

教訓

  ドゥ氏は、やり直すことができるなら、重症患者の治療における最良の方法を確立するために、指定された病院にすべてのICUスタッフを集めて一緒に作業をさせることを医療当局に対し強く求めただろうと述べた。

  また、呼吸不全または低酸素血症の「臨床的悪化」が見られた全ての患者に、侵襲的人工換気を行うことにより積極的になっただろうとも語った。

  同氏によれば、ウイルスへの対応で最も重要なのは計画であり、各国は発熱した患者や感染が疑われるケースにどう対処するか、検査体制や感染の可能性がある場合の隔離などについて事前に策定しておく必要がある。

  「患者の受け入れスペースだけでなく、医療従事者の防護用品の備蓄や供給などについて計画が必要だ」と語った。

  湖北省の患者数が減少していることは事実だとした上で、再び増加する可能性は排除できないともドゥ氏は述べた。

原題:What Doctors Treating Covid-19 in Wuhan Say About The Virus(抜粋)

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