中国の人工呼吸器工場に世界中から注文殺到-新型コロナ感染拡大で
Jinshan Hong、Dong Lyu-
世界中の病院が人工呼吸器不足に直面、米国全体で96万人分必要も
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誼安医療は24時間体制で生産、5月まで工場のフル稼働続く見通し
中国の医療機器メーカー、北京誼安医療系統は1月20日以来、24時間体制が続く。
同社の工場ラインは2週間前に国内のニーズを満たした後、外国からの人工呼吸器の注文に全力で取り組んでいる。3交代制で、研究開発部門のスタッフまでも生産ラインで働く中、同社の機械は休みなく稼働している。
同社のディレクター、リー・カイ氏は「数万件の注文が待っており、問題はどれだけ速く生産できるかだ」と語る。
新型コロナウイルス感染症(COVID19)による世界の死者数が1万5000人を超える中、ミラノやニューヨークなどの医師は人工呼吸器を懸命に探し求めている。重症例では、それがあるかないかが患者の生死を決める可能性がある。約5000-6000台の人工呼吸器を持つニューヨーク州のクオモ知事は先週、3万台が必要になるかもしれないとの認識を示した。
米国全体で96万人の患者に人工呼吸器のサポートが必要になると米国集中治療医学会は予想しているが、同国の現在の保有は20万台程度にとどまる。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)に伴う死者数が最も多いイタリアでは、深刻な人工呼吸器不足で医師は治療を施す患者の選別を余儀なくされている。
人工呼吸器を製造するために時間と闘っている中国企業は同社だけではない。
中国の医療機器企業間取引(B2B)プラットフォーム、貝登医療のサプライチェーン担当ディレクター、ウー氏は「中国の全ての人工呼吸器工場は最大生産能力に達し、外国からの需要で完全に手一杯になっている」と述べた。工場のフル稼働は5月まで続くと同氏は予想している。
人工呼吸器の需要があまりにも多いため、トランプ米大統領は自動車メーカーの人工呼吸器生産に向けた工場改築を容認した。
トランプ氏は22日のツイートで、フォード・モーターやゼネラル・モーターズ(GM)、テスラに人工呼吸器を製造する許可を与えたと明らかにした。
ただ、企業が迅速に生産を増やせるフェースマスクや体温計とは異なり、人工呼吸器は参入障壁がより高く、急速な生産拡大はもっと困難だとウー氏は指摘。「生産ラインの拡張は非常に時間がかかり、資源を要する。人材育成も必要で、あまりにも手間がかかる」と説明した。
誼安医療は注文殺到で、昨年の数倍の売上高を見込んでいる。「パンデミックとの闘いで、中国製品のスピードと品質が試される」とリー氏は語った。
原題:China’s Ventilator Makers Rush to Fill Global Orders (1)(抜粋)