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景気判断「厳しい状況」に下方修正、「回復」を削除-3月月例報告

  • 東日本大震災以来の「厳しい状況」、6年9カ月ぶり「回復」消える
  • 個人消費「弱い動き」37カ月ぶり下方修正、世界景気「急速に減退」

内閣府は26日公表した3月の月例経済報告で、新型コロナウイルスの感染拡大により国内景気は「厳しい状況」だとして、景気の総括判断を3カ月ぶりに下方修正した。2013年7月以来判断に盛り込まれていた「回復」の文言は6年9カ月ぶりに削除された。

  政府は国内景気について、新型コロナ感染症の影響により「足元で大幅に下押しされており、厳しい状況にある」と評価した。「厳しい状況」という表現が用いられるのは、東日本大震災後の景気悪化局面である12年7月以来。2月の総括判断は、景気は「輸出が弱含む中で、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いているものの、緩やかに回復している」だった。

  個別項目については、個人消費や設備投資、雇用情勢など7項目の判断を引き下げた。個人消費の下方修正は37カ月ぶりで、「持ち直している」から「このところ弱い動きとなっている」に修正。世界景気も4カ月ぶりに引き下げ、新型コロナ感染症の世界的大流行により「経済活動が抑制されており、足元で急速に減退している」との判断を示した。

  国内景気の先行きについては、「感染症の影響による厳しい状況が続く」とし、「内外経済をさらに下振れさせるリスクに十分注意する必要がある」と指摘。その上で政策対応については、「影響を注意深く見極めながら、機動的に必要かつ十分な経済財政政策をちゅうちょなく行う」とした。

  新型コロナ感染症の拡大に伴い政府は2月下旬に大規模イベントの自粛や学校の休業などを要請。3月に入り状況は一段と深刻化しており、24日には東京五輪・パラリンピックの開催延期を決定、25日には外務省が全世界を対象に渡航の自粛要請を出した。

  サプライチェーンの寸断や人の移動制限などで経済が混乱する中、エコノミストからは7-9月期まで4四半期連続のマイナス成長を見込む声も出始めている。新型コロナ対策として2月に約150億円、3月に約4300億円の緊急経済対策が取りまとめられたが、安倍政権はさらなる対応を迫られている。

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