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JXTG:油価下落で最終赤字3000億円予想に-従来1550億円黒字

更新日時
  • 石油や石油製品等の在庫評価損の損失影響が2500億円発生する見込み
  • 新型コロナ影響の需要減で石油・石油化学製品マージンが大幅に縮小

国内最大の石油元売りJXTGエネルギーを傘下に持つJXTGホールディングス(HD)は26日、新型コロナウイルス感染拡大の影響などによる原油価格の下落を受けて、通期(2020年3月期)の連結純損益が3000億円の赤字に転落するとの見通しを示した。従来は1550億円の黒字予想だった。

  発表によると、原油価格の急落により、同社の原油や石油製品等の在庫評価による損失影響が2500億円発生する見込み。さらに市況下落を踏まえた保有資産の再評価を実施した結果、約900億円の減損損失を計上する。

今期業績見通しを修正
  • 売上高:10兆500億円(従来予想10兆4000億円、市場予想10兆3314億円)
  • 営業益:-2100億円(従来予想2800億円、市場予想2519億円)
  • 純利益:-3000億円(従来予想1550億円、市場予想1341億円)

  石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非OPEC減産協調国などによる追加減産協議が決裂し、サウジアラビアなどの産油国は増産へと舵(かじ)を切った。新型コロナ感染が世界的に流行する中、世界経済成長の低迷や需要減退への懸念が高まっていることもあり原油価格は大幅に下落している。

  JXTGの発表によると、新型コロナ感染拡大により製品需要が減少し、石油・石油化学製品のマージン(利ざや)が大幅に縮小した。結果として、在庫影響を除いた通期のエネルギー事業の営業利益は従来の1950億円の黒字予想からゼロに下方修正した。期末配当は1株当たり11円を維持する。

  大和証券の西川周作アナリストは投資家向けリポートで、予想していた水準よりも下方修正幅は大きいが「一過性要因が差異の要因で、特段のネガティブ材料視をする必要はない」と指摘。在庫評価損や減損を踏まえると、来期(21年3月期)は数千億円単位の営業利益確保が可能と改めて提示された格好と言えるとの見方を示した。

  JXTGによると、通期の損益予想は下方修正したものの、その要因には評価性の損失が含まれていることや、運転資本の改善や投資支出の減少を見込んでいることなどから、今期のフリー・キャッシュフローはおおむね計画通りとなる見通し。

  JXTGが業績見通しの下方修正を発表後、同社の株価は若干値を上げたものの、前日比0.4%安の385円で取引を終えた。

(アナリストコメントを追加して更新します)
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