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絶対にデフレに戻さない、コロナ対応も日銀と共有-西村再生相

更新日時
  • 緊急事態宣言は5月末に解除し、経済活動を段階的に引き上げたい
  • 東京、大阪の大都市圏、14日の解除は困難-緊急事態宣言

西村康稔経済再生担当相は13日、日本経済を「もう絶対にデフレには戻さないという強い決意」を政府・日本銀行が共有しており、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた経済対策でも、現状で最優先となっている企業への資金繰りなどで連携していく考えを示した。西村氏は3、4月の日銀金融政策決定会合に出席している。

  ブルームバーグとのインタビュ-で語った。西村氏は日銀が4月の金融政策決定会合で国債買い入れ額の上限撤廃やコマーシャルペーパー(CP)、社債の購入増を決めたことは、「資金繰りにも効果がある」と評価。日銀が検討している金融機関への新たな資金供給手段などを通じて、「連携して取り組んでいきたい」と語った。

  企業の資金繰り支援を巡り、政府は中小企業を対象にした金融機関による実質無利子・無担保融資を可能とする対策を実施しているほか、大企業向けには日本政策投資銀行の出資枠の拡大も検討している。

  日銀の黒田東彦総裁も12日の衆院財務金融委員会で、「企業などの資金調達の円滑確保と金融市場の安定維持がまず大事だ」と指摘、「政府と連携しながら、中央銀行としてできることは何でもやる」との意向を表明した。

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緊急事態宣言発令中の大阪市(5月2日撮影)

Photographer: Buddhika Weerasinghe/Bloomberg

  西村氏はまた、追加対策のための2020年度第2次補正予算案の編成も「スピード感を持って対応しないといけない」と説明。為替の動きについては「比較的安定的に推移している、落ち着いているというふうに思っている」との見方を示した。

緊急事態宣言

  西村氏は全国に発令されている緊急事態宣言については、「できれば5月末に解除して経済活動を段階的に引き上げていく、世界経済の状況を見ながら徐々にいろいろな活動を再開していくことになると思う」との見通しを示した。

  緊急事態宣言について、政府は14日に専門家から各都道府県の状況について意見を聞き、可能であれば解除する方針を示している。重点的な対策が必要な「特定警戒都道府県」以外の34県の多くと13の特定警戒都道府県の一部で解除の可能性がある。ただ、西村氏は東京都、大阪府などの大都市圏については同日に解除するのは困難との見方も示した。

  外出自粛や休業要請により、国内景気は急速な悪化が続いている。内閣府が12日発表した3月の景気動向指数(速報値)は、景気の現状を示す一致指数が前月比4.9ポイント低下の90.5だった。外出自粛や休業要請で経済活動が停滞する中、悪化幅は東日本大震災が発生した2011年3月以来の大きさとなった。

  景気の先行きについて西村氏は、一部地域での緊急事態宣言解除で、5月後半は多少は前向きな動きが出てくるとする一方、「日本経済を支えている東京・大阪を中心とした大都市圏で緊急事態が続く中で、かなりの落ち込みを当然覚悟しないといけないと思う」と危機感を示した。

  入国規制については、現在はなお上陸拒否などの対象地域を拡大しなければならず、解除を話す段階ではないと述べた。

 

(第8、9段落に景気の先行きに関するコメントなどを追加して更新しました)
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