三井住友F:今期純利益43%減へー与信費用の増加が業績を圧迫
萩原ゆき、浦中大我-
新型コロナの影響、純利益で3100億円のマイナス要因に
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与信費用、状況見ながら期中に柔軟に対応ー太田社長
三井住友フィナンシャルグループは15日、今期(2021年3月期)の連結純利益予想が前期比43%減の4000億円になると発表した。ブルームバーグが集計したアナリストの市場予想6172億円を下回った。新型コロナウイルス感染拡大により与信費用の増加などが影響する。
発表資料によると、今期の与信費用は前期(20年3月期)の1706億円から4500億円に拡大する見通し。このほか、資産運用ビジネスの下振れなどマーケティング部門での対顧客取引にも1700億円規模の感染拡大影響が生じ、純利益で3100億円のマイナス要因になるとした。
太田純社長は電話会見で「コロナ影響は広範囲にわたり、詳細を見極めることはできない」としながらも、終息時期にもよるが「金融システムに大きな影響が出ているわけではない」として、取引先の資金需要に応えていく考えを示した。与信費用については「期中に状況を見ながら柔軟に対応したい」と述べた。
世界的な感染拡大が資産価格を下押しすることをにらみ、「海外での買収案件はチャンスを拾って行きたい」との考えを明らかにした。
今期の年間配当は1株当たり190円と前期実績と同じ水準に据え置いた。前期は190円と前の期比10円増配とした。
同時に発表した前期の純利益は前の期比3.1%減の7039億円だった。多額の減損損失を計上し5282億円の純利益だった三菱UFJフィナンシャル・グループを抜いて、3メガバンク体制となった05年以降、初めて業界トップとなった。
20年1−3月期決算の主な内容 | |
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同社の1-3月期の与信費用は前年同期比30%増加。同日に決算を発表した三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループとの比較では三井住友Fの増加幅が最も少なかった。前期末の不良債権比率は0.68%と1年前の水準から0.08ポイント減少。3行の中で唯一比率が減少した。
三井住友Fは同日、23年3月期までの中期経営計画も発表。配当性向40%を目指すほか、前中計で自己資本利益率(ROE)8%としていた目標を、より資本の質を厳しく算定する「ROCET1」で8.5%を目指すとの方針を示した。中核的な自己資本を意味する「CET1」を意識した経営に移行する。
このほか、営業経費から先行投資にかかる費用などを除いた「ベース経費」を新たに指標として採用し、前期比で削減することを目指す。フィンテックなど新技術への取り組みが必要な中、経費率を意識して委縮することのないよう配慮した。