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英EU通商交渉、手詰まりのまま最終ラウンドへ-バルニエ氏悲観

更新日時
  • 英国側交渉責任者、合意に向け「ほとんど進展していない」
  • 6月首脳会議で交渉継続判断、残された交渉ラウンドはあと1回

英国と欧州連合(EU)の今後の通商関係を巡る交渉は、ほとんど進展の兆しがないまま来月の重要な期限へと向かっている。双方の交渉責任者は合意の可能性にいっそう悲観的な見方を示した。

  直近の交渉ラウンドを終えた15日、バルニエEU首席交渉官は合意を楽観していないと述べ、合意不成立に終わる可能性を初めて示唆した。英国側の交渉責任者を務めるデービッド・フロスト氏は、合意に向け「ほとんど進展していない」と認めた。

  争点は開始時から変わっていない。フロスト氏は発表文で、EUが「公平な競争条件の確保と呼ぶ、バランスを欠く奇抜な提案」に固執するなら合意は無理だと警告。EUが英領海での漁業権を要求していることも批判し、「明らかに不均衡で、英水産業界の利益に反する取り決めに合意することはできない」と表明した。

  交渉継続の是非を判断する6月の英EU首脳会議まで、交渉ラウンドは1回しか残されていない。ジョンソン英首相はこの首脳会議までに十分な進展が見られない場合、交渉を打ち切る姿勢を打ち出している。その場合、英国は離脱に伴う移行期を、EUとの自由貿易協定を結ばずに今年末で終えることになる。すでに新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で動揺する経済が、いっそう厳しくなることは必至だ。

  ポンドは今月に入ってからの騰落率がG10通貨のうち最低。ドルに対しては15日に5営業日連続で下落し、一時3月25日以来の安値を付けた。

  

British Fishing Industry As UK to End Half Century of Fishing Rights in Brexit Slap To EU

英領海での漁業権継続などが争点

撮影:Annie Sakkab / Bloomberg

  EUが主張する公平な競争条件とは、税制や補助金、労働者の権利、環境基準などの分野で英国がEUを出し抜かないよう、引き続き束縛するもの。英国はこれらの要求は正当化されないと主張、独立した国としての新たな地位を反映していないと反発している。

  バルニエ氏はブリュッセルで記者団に対し、EUにとって公平な競争条件は単なる希望ではなく、必須だと言明。「英国経済のためにEUの価値観をねじ曲げるつもりはない」と語った。

  英政府関係者によると、英金融企業のEU市場アクセスを巡っても、双方は一致できていない。EUが「同等性評価」の認定取り消しを計画する場合には、事前警告を義務づける条項を英国は盛り込みたいが、EUは抵抗している。この条項なしではEU市場へのアクセスが突然制限されることもあり得るとして、英国の金融企業は懸念を表明している。

原題:Barnier Downbeat on Brexit Deal as Talks Make Little Progress(抜粋)

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