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ソフトバンクG株が約1カ月ぶり高値、アリババ株使い1.2兆円を調達

ソフトバンクグループ株が約1カ月ぶりの高値を付けた。保有する中国アリババ・グループ・ホールディング株を利用した金融機関との先渡し売買契約で、115億ドル(約1兆2300億円)を調達したことが分かった。アナリストからは、厳しい経営環境の中でのスムーズな資金調達を好感する声が上がっている。

  19日の取引で株価は一時前日比3.5%高の4784円と3営業日続伸し、4月21日以来の高値水準に戻した。

  18日に発表した決算短信の中で明らかにした。3月に発表した自社株買いと負債削減に充てる最大4.5兆円規模の資産売却計画の一環で、既に4月と5月に契約を結び、一部を除き入金が完了している。

  孫正義社長はオンラインで行った決算会見で、4.5兆円のうち残る金額についても「問題なく調達が可能」と話した。

  野村証券の増野大作アナリストはリポートで、「資金調達を短期間で確定させたことはポジティブな印象である」と評価した。

BBG

ソフトバンクGの孫社長

Source: SoftBank

  このほか、孫社長は配当について、経済危機の中でさらに資金が必要になる可能性があり、「より安全にいこうと思っている」と発言。「増配ということはあまり考えられない」と述べた。ビジョン・ファンドの評価は可能な限り保守的に見積もっており、「評価益よりは評価減の方が可能性はまだまだ大きい」とみているという。

  新型コロナウイルスの影響で、同社が投資している「ユニコーンはどんどん落馬している」とも説明。15社程度は倒産するだろうとの見方を示した上で、救済出資は行わないと表明した。ただし、危機の中でこそ新規産業も育つため、「無茶をしない範囲の投資を継続する」としている。

  前期(2020年3月期)のビジョン・ファンドなどからの営業損益は1兆9313億円の赤字(前の期は1兆2566億円の黒字)だった。配車サービスの米ウーバー・テクノロジーズやシェアオフィス運営の米ウィーワークなどの公正価値が減少したほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でその他投資先の公正価値も減った。3月末時点で同ファンドは88銘柄を保有している。

  全体の営業損益もアーム事業の利益悪化などが響き、1兆3646億円の赤字(前の期2兆736億円の黒字)。純損益は過去最大となる9616億円の赤字に転落した。新型コロナについては、感染拡大の収束が遅れれば、今期も投資事業は先行き不透明感が拭えない状況が続くとみている。 

  SMBC日興証券の菊池悟アナリストはリポートで、「20年3月期は大幅減益となったが、21年3月期は実現益で大幅増益になる見通し」と分析。4.5兆円の資産売却・現金化計画にはアリババ株、Tモバイル株が含まれると考えられ、「合わせて2兆円以上の利益が発生する可能性がある」とみている。

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