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外国勢によるヘッジ付き円債運用が細る、ドルプレミアムの縮小で

ドル資金を元手に運用する外国人投資家のヘッジ付き円債の運用が低迷している。新型コロナウイルス禍で米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめとする世界の中央銀行が取り組んだ流動性供給策がドルプレミアムを抑制しているためだ。

  財務省の月次の対外対内証券投資の状況によると、外国勢は3月に短期債や中長期債を記録的な水準となる約7兆5600億円売り越した。4月も約4700億円売り越している。日本銀行の資金循環統計では、昨年末時点の外国勢による日本の国庫短期証券の保有割合はおよそ7割だった。 

  三菱UFJ国際投信戦略運用部の加藤章夫ゼネラルマネジャーは、「足元でヘッジプレミアムが落ち着いてきており、海外投資家が日本国債に投資する有利性が少なくなっている」と指摘。「プレミアムが落ち着いている中では、マイナス金利で推移する国内短期債への需要は少ないと思う」と述べた。

  ブルームバーグのデータによると、米ドル保有者が為替スワップ市場で米ドルの運用と円の調達をすることで日本の短期国債に投資した場合に得られる収益率は0.38%。2019年初めのころは2.87%だった。

米ドル投資家から見た日韓のヘッジ付き債券の魅力低下

  FRBは新型コロナウイルス流行による経済の世界的な影響が深刻化した3月以降、ドルの流動性を融通するスワップラインを通じて日銀など主要な中銀に対して米ドルを積極的に供給してきた。こうしたことを背景に米ドル不足は和らいでいるが、FRBがマイナス金利政策を導入するかもしれないという思惑はくすぶり続けており、為替スワップ市場でのドルのプレミアムを押さえつける格好となっている。

  

海外投資家、記録的な円債売り越し後も止まらず

  一方、韓国債券もヘッジ付き利回りの低下を受けて魅力が損なわれているものの、米短期国債利回りに対する相対的な優位性から世界の投資マネーの需要を惹きつけている。海外投資家は償還1年未満の韓国債券を4月に、08年以来の高水準となる5.2兆ウォン買い越した。

  HSBCホールディングスのストラテジスト、トム・ナッシュ氏とヒマンシュ・マリク氏は、先週の顧客向けリポートで「収益強化のために通常の候補先を超え、先進国的な特徴を持つ他の市場を見る」ことを推奨。他の低利回りの国と比較し「韓国はこの点で債券利回りが比較的高いことで際立っている」と指摘した。

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