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韓国中銀、非伝統的手段を検討-政策金利は過去最低の0.5%に

更新日時
  • 今年の成長率予想マイナス0.2%に引き下げ、従来プラス2.1%
  • 金利以外の政策手段を検討、政府債を積極的に購入へ-李総裁

韓国銀行(中央銀行)の李柱烈総裁は28日、非伝統的な政策手段を通じた成長支援を検討していると明らかにした。韓国中銀は同日の金融通貨委員会で政策金利を過去最低水準に引き下げることを決めると共に、今年の韓国経済についてアジア金融危機以来のマイナス成長に陥るとの見通しを示した。

  李総裁は記者会見で、「金融政策の緩和的スタンスのさらなる拡大が必要となれば、金利以外の政策手段を積極的に活用する可能性がある」として、あらゆる選択肢が検討されていると語った。

Inflation and exports have weakened as the pandemic drags on

  さらに、政策金利である7日物レポ金利を0.25ポイント引き下げ、過去最低の0.5%とした決定は全会一致だったと説明。この日の利下げで金利は実効下限制約(ELB)に近づいたと指摘した。また、中銀は市場を安定させるため政府債を積極的に買い入れていくと表明した。

  新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた経済を支援する上で、韓国中銀が今後は追加利下げにより消極的になり、代わりに他の手段を活用する可能性を同総裁の発言は示唆している。

  韓国中銀は今年の成長率予想をマイナス0.2%と、2月時点のプラス2.1%から引き下げた。インフレ率の予測も1%から0.3%に引き下げた。

  李総裁によれば、こうした予想は新型コロナの世界的な流行が4-6月(第2四半期)にピークを迎えるとの想定がベースになっているが、米中貿易戦争再燃の可能性は考慮されていない。その上で、米中間の緊張の高まりが韓国経済にリスクをもたらす可能性があるとも指摘した。

  未来アセット大宇のエコノミスト、パク・ヒチャン氏は0.2%のマイナス成長見通しについて、経済がさらに縮小する公算が大きいことを踏まえれば、楽観的過ぎると指摘。「金利は既に極めて低い水準にあるため、追加利下げはあまり効果がない。韓国中銀はより非伝統的な手段に傾いていくだろう」と分析した。

  新型コロナ感染拡大を受けた利下げは今回が2回目。韓国中銀は3月の緊急会合で0.5ポイントの利下げを実施した。ブルームバーグのエコノミスト調査では、23人中18人が0.25ポイントの利下げを予想。1人が0.5ポイントの利下げ、残りは据え置きを見込んでいた。

原題:Bank of Korea Mulls Other Tools After Cutting Rate to Record Low、BOK’s Lee Says Key Rate Close to Effective Lower Bound(抜粋)

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:
東京 内田良治 ruchida2@bloomberg.net

東京 野崎ひとみ hnozaki1@bloomberg.net

翻訳記事に関するエディターへの問い合わせ先:
東京 麗英二 etoshi@bloomberg.net

東京 角田正美 mkakuta@bloomberg.net

東京 小針章子 akobari@bloomberg.net

(総裁発言を追加しコメントを差し替えて更新します)
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