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5月の東京消費者物価0.2%上昇、市場予想に反し2カ月ぶりプラス

更新日時
  • 宿泊・パック旅行、前年10連休の反動で前月から押し上げ方向に寄与
  • 石油製品の下落続く、新家氏「秋以降に下落幅拡大のリスク」

全国の物価の先行指標となる5月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.2%上昇し、2カ月ぶりのプラスとなった。市場では0.2%低下が見込まれていたため、予想外の結果となった。原油安を背景にガソリンを含む石油製品の下落幅が引き続き拡大する一方、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を大きく受けている宿泊料や外国パック旅行費などが前年の反動で前月からの押し上げ方向に作用した。総務省が29日発表した。

キーポイント

  • 東京都区部コアCPIは前年比0.2%上昇(ブルームバーグの予想中央値は0.2%低下)-前月は0.1%低下
  • 生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは0.5%上昇(予想は0.1%上昇)ー前月は0.2%上昇
  • 総合CPIは0.4%上昇(予想は0.1%上昇)-前月は0.2%上昇
都区部コアCPIは2カ月ぶりプラス

エコノミストの見方

第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト:

  • 5月の全国CPIも上振れる可能性があるが、大きな流れとしてはエネルギー価格による物価の下押し圧力が継続する。電気代やガス代はガソリンよりも遅れて影響が出てくる。その下押しの影響が夏場以降くらいから大きくなる
  • これだけ景気が悪いと需給バランスは相当に悪化する。エネルギー以外についても需要面からの下押しの影響が大きくなると思う。そうであれば、物価の先行きは下振れるとみるのが自然だ
  • 基調としての物価は、ならしてみればマイナス圏での推移が続き、秋以降はマイナス幅が大きくなるリスクがある。雇用面における需給バランスの悪化が賃金にも影響し、サービス価格にも下押し圧力がかかりやすい

詳細(総務省の説明)

  • エネルギー価格は原油価格の下落を反映し、ガソリンを中心に前月から押し下げ要因となったが、電気代は再生可能エネルギー発電促進賦課金が上乗せされ、前月から押し上げ方向に作用。賦課金の影響を除けば、原油下落の影響で電気代も前月から押し下げ要因に
  • 宿泊と外国パック旅行費が前月からの押し上げ要因になったのは、前年の反動。前年は10連休後の需要の落ち込みを背景に5月の価格が4月と比べて大きく下がったが、今年の5月は4月から横ばいだったため。新型コロナの影響で下落した4月から横ばいなので、影響は継続している
  • 生鮮食品を除く食料の前月からの押し上げは、外出自粛によって肉類などの消費が増加した可能性
  • 家庭用耐久財は電気洗濯機が例年6月の新製品投入を控えて5月に旧製品のセールが行われるが、今年はセールが行われなかったため、前年比でプラスとなった
  • マスクは前年比6.6%上昇と前月の13.0%上昇からプラス幅が縮小。例年は花粉症の収束とともにセールが終了し、5月に価格が上がるが、今年は新型コロナの影響で品薄の状況が続いており、前月から水準が横ばいとなったため
(詳細を追加し、エコノミストコメントを追加して更新しました)
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