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警察改革の訴え、トランプ大統領はバイデン氏攻撃材料に利用

  • ディファンド・ザ・ポリスのスローガン、予算打ち切りを要求
  • バイデン氏、この要求に支持を表明していない
A demonstrator wears a defund police T shirt during a protest in Minneapolis on June 6.

A demonstrator wears a defund police T shirt during a protest in Minneapolis on June 6.

Photographer: Stephen Maturen/Getty Images North America

デモ隊がスローガンの一つにしている「ディファンド・ザ・ポリス(警察の予算打ち切り)」。トランプ米大統領はこのスローガンをバイデン前副大統領と結びつけ、対立候補が犯罪取り締まりに弱腰だとの印象を有権者に植え付け、警察改革法案の提出を準備する民主党を非難する政争の具にしようとしている。バイデン氏がこの要求に支持を表明していないことも、お構いなしだ。

  黒人男性が白人警官に首を押さえられて死亡した事件は、全米に抗議の渦を巻き起こし、トランプ大統領を守勢に立たせたかのようだった。しかし警察予算打ち切り要求をきっかけに、トランプ氏は抗議活動の光景に不安を覚える有権者や警察を自分の味方に付けようとしている。

Anti-Racism Protests Held In U.S. Cities Nationwide

「警察予算打ち切り」のTシャツを着たデモ参加者。6月6日、ミネアポリス。

撮影: Stephen Maturen/Getty Images

  「ディファンド・ザ・ポリスの要求は民主党で勢いを増しており、それがバイデン氏自信の信条と認識されるのは必至だ」と述べるのは、トランプ氏の選挙陣営で広報ディレクターを務めるティム・マータウ氏。「警察はバイデン氏が自分たちを見捨てたと受け止めている。同氏は民主党の中でも特に過激な分子の要求に応じて、左に傾斜したからだ」と説明した。

  ディファンド・ザ・ポリスが意味するものは幅広い。黒人など有色人種が不釣り合いに高い割合で影響を受けている経済、社会の問題に対し、それを是正するプログラムに予算を振り向けることもその一つだ。しかし声高に繰り返されるスローガンは、警察の廃止を要求していると思わせ、バイデン氏らが廃止を支持していないにもかかわらず民主党を攻撃する格好の材料となっている。

  「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」運動を始めた一人であるアリシア・ガーザ氏は、「われわれが言うディファンドとは、地域社会が必要としているリソースに資金を投じることだ」とNBCの番組で説明した。

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原題:Trump Uses ‘Defund Police’ as Political Weapon Against Biden (1)(抜粋)

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