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コロナの無症状感染者、ウイルス拡散に果たす役割はまだ不明-WHO

  • 無症状の人がウイルスをうつすケースは「極めてまれ」と8日に発言
  • さらなる研究が必要だとWHOのバンケルコフ氏が9日に説明
Pedestrians cross Zollbruecke bridge in Magdeburg, Germany, on Thursday, May 28, 2020. 

Pedestrians cross Zollbruecke bridge in Magdeburg, Germany, on Thursday, May 28, 2020. 

Photographer: Krisztian Bocsi/Bloomberg

世界保健機関(WHO)は9日、新型コロナウイルスの無症状感染者がどれほど他人にうつしやすいかについて、まだはっきりしていないとの見解を示した。前日には幹部の1人がそのような感染は「極めてまれだ」と発言し、物議を醸していた。

  WHOの新興疾患・人獣共通感染症部門責任者のマリア・バンケルコフ氏は8日の記者会見で、「無症状の感染者が実際に他人にうつすケースはまれのように引き続き思われる」と述べたが、翌9日にはソーシャルメディアの公開イベントで、前日の発言は接触者追跡を含む特定の研究に言及しただけだとし、 「世界的に無症状の感染が極めてまれだと言うのは誤解だと思う」と釈明した。

WHOの新興疾患・人獣共通感染症部門責任者のマリア・バンケルコフ氏

(出典:ブルームバーグ)

  WHOは2月の段階で、無症状の感染者は主な感染源ではないとの認識を明らかにしていた。一方、米有力医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)は、健康そうに見える人からの感染が「新型コロナのパンデミック(世界的大流行)抑制のアキレス腱(けん)だ」と先に警告した。

  こうした混乱は、真に無症状の人と発症前で症状が出ていない人が、感染拡大で果たす役割の違いが一部影響している。

  WHOは先週公表したマスク着用に関する指針で、感染者は発症直前のウイルス量が多く、他人に感染させる恐れがあると指摘。一方、「加盟国から報告された接触者追跡に関する手元のデータでは、無症状の感染者は症状のある感染者に比べウイルスを拡散させる可能性がはるかに低いことが示唆される」としていた。

  バンケルコフ氏は一部の無症状感染者がウイルスをうつすことがあり得ることは知られているが、その程度についてはさらなる研究が必要だと語った。無症状の感染者は年齢が若く、基礎疾患がない傾向があるという。

原題:
WHO Now Says Role of Silent Virus Spreaders Remains Unclear(抜粋)

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