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Photographer: Toru Hanai/Bloomberg
Cojp

5月輸出28%減、車不振で09年9月来の減少幅-対米貿易黒字は最低

更新日時
  • 対米輸出50.6%減、09年3月来の大幅減-対米黒字額103億円に縮小
  • 貿易収支は8334億円の赤字、輸入は26.2%減

日本の5月の輸出は前年同月比28.3%減と、リーマンショック後の2009年9月(30.6%減)以来の落ち込みとなった。前年を下回るのは18カ月連続。新型コロナウイルス感染拡大で世界的に経済活動が停滞する中、欧米向けを中心に自動車や同部分品を含む輸送用機器が振るわなかった。財務省が17日発表した。

  輸入は同26.2%減。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は8334億円の赤字と、2カ月連続の赤字。対米貿易収支の黒字額は103億円と、統計でさかのぼれる1979年1月以降の最低を更新した。対米輸出は前年同月比50.6%減と、減少率は09年3月以来の大きさだった。

キーポイント

  • 5月の貿易収支は8334億円の赤字(ブルームバーグ調査の予想中央値は1兆300億円の赤字)-前月は9319億円の赤字
    • 輸出は前年同月比28.3%減(予想は26.1%減)の4兆1848億円、18カ月連続の減少-前月21.9%減
      • 輸出数量指数は27.3%減
    • 輸入は26.2%減(予想は20.4%減)の5兆182億円、13カ月連続の減少-前月7.1%減
輸出は09年9月以来の落ち込み

エコノミストの見方

バークレイズ証券の前田和馬エコノミスト:

  • 5月の輸出は欧米ロックダウンの影響で、さらに落ち込みが大きくなった。経済活動が徐々に再開する中でも、最終需要な弱さ、特に自動車販売の弱含みが影響
  • 自動車の落ち込みはサプライチェーン寸断の影響もあるし、店舗閉鎖で在庫が増えているという影響もある
  • 欧米は最終需要の弱さが顕著に表れ、アジアや中国は電子部品やサプライチェーンの戻りに合わせてマイナス幅を縮小している
  • 欧米の消費が戻らないと、輸出は弱い動きが続く可能性が高い。戻りが見られているアジア向けも、中国から欧米主要国向けの輸出が弱含むと、日本からの中国への部品輸出が弱含む

明治安田総合研究所の小玉祐一チーフエコノミスト:

  • 輸出は米国向けのほか、欧州向けも30%-40%減と軒並み悪い。一方、中国向けは1.9%減で、中国経済がいち早く立ち直っている様子が示されている
  • 品目別ではすそ野が広い輸送機器関連が弱い。特に日本は外需主導のため、経済にもダイレクトに影響を与える。特に生産の弱さに輸出の弱さが直結する
  • 5月は輸出の底だろう、これは多分間違いない。6月は多くの国で経済活動は再開しているので、回復に向かう姿は示されるだろう
  • ただ、貿易業が縮小した状態はかなり後々まで残る見通し。前月比で大幅なプラスになる可能性は高いが、前年比でのプラス転換にはしばらく時間がかかるだろう
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(詳細を追加し、エコノミストコメントを差し替えて更新しました)
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