コロナ対応策概ね出そろう、当面は効果を確認へ-日銀主な意見
伊藤純夫-
今後も必要あれば迅速に対応、デフレリスクの抑制が重要
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金融緩和は一層長期化、金融システムへの影響を慎重に検討
日本銀行が24日に公表した6月15、16日の金融政策決定会合における主な意見によると、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するための日銀の政策措置は「おおむね出そろった」とし、当面は一連の政策効果を「確認・検証することが望ましい」との意見が政策委員から表明されていたことが分かった。
日銀は3月以降、感染拡大の影響に対応するため、政府とも連携して企業などの資金繰り支援策や金融市場の安定化策を相次いで打ち出したきた。
6月会合の主な意見では、一連の政策対応について「所期の効果を発揮している」との評価が示され、「当面は、金融・財政の連携の下で決定された一連の大規模な政策対応の効果と、金融システムの機能を注視する必要がある」との指摘が出た。
コロナの影響によって先行きの不確実性が大きい状況に変化はなく、委員からは「現行の枠組みの下であらゆる手段を果断に講じて、企業の事業継続・雇用維持、および金融市場の安定維持に資する」ことが必要との意見のほか、「今後も、さらなる政策対応の必要があれば、迅速に対応すべきである」との見解も表明された。
一方、感染拡大を受けて「物価安定の目標の達成が後ずれし、金融緩和の一層の長期化が想定される」状況にあるとし、政策対応は「実体経済の悪化が金融システムの安定性に影響を及ぼすことがないよう、これまで以上に慎重に検討していく必要がある」との指摘もあった。
また、経済の急激な落ち込みによる再デフレのリスクも意識される中、「予想物価上昇率が2%にアンカーされていない下でデフレに陥ることは、物価安定の目標達成の重大な障害になり得る」との指摘や、「経済政策運営においては、まずはデフレが定着するリスクを最小限に抑制することが必要である」との意見も出た。
同日の会合では、長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みによる金融政策運営方針の維持を賛成多数で決定。2020年度第2次補正予算の成立を受け、資金繰り支援特別プログラムの総枠を拡大した。
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