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米雇用統計:6月の非農業部門雇用者数480万人増-予想上回る

更新日時

米国の労働市場は6月に改善ペースが加速した。経済活動を再開する地域が広がったことが背景にある。ただ、新型コロナウイルスの新規感染例が増加する中、失業保険申請件数は高止まりしている。

キーポイント
  • 6月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比480万人増
    • ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は323万人増
    • 前月は270万人増(速報値250万人増)に上方修正
  • 家計調査に基づく失業率は11.1%に低下
    • 市場予想は12.5%への低下
    • 前月は13.3%

  労働省が別に発表した先週の新規失業保険申請件数は、通常の州プログラムの下で143万件に減少。ただ減少幅は市場予想より小幅にとどまった。

米新規失業保険申請件数、高止まり-継続受給者は4週ぶりに増加

  米雇用統計は毎月半ばの雇用状況を反映する。6月は特にレストランや小売企業での再雇用の動きが数字に表れた。新型コロナ感染拡大を受けた外出制限措置が解除され、経済活動再開のプロセスが始まったことが背景にあるが、現在ではこのプロセスに急ブレーキがかかっている。トランプ大統領が再選を目指す上で、今後数カ月の雇用増加は、米株式相場の上昇継続とともに極めて重要な要素となり得る。

The number of working Americans climbed for second straight month in June

  BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、ジェニファー・リー氏は「依然として極めて高水準の失業からの回復途中にあるが、一歩一歩の積み重ねが重要だ」と述べた。

  過去数カ月の統計では、失業者とみなされるべき多くの回答者が、雇用されていると誤って分類される問題が生じていた。労働省の労働統計局(BLS)は今回、この問題をおおむね修正したと説明。正しく分類されていれば、6月の失業率は約1ポイント高い12.3%となっていた。5月の失業率は同ベースで16.4%となる。

  このところは、新型コロナ感染の再拡大が見通しを複雑にしている。いったん経済活動を再開した州で再び停止させる動きが出ており、再雇用された労働者の一部が再びレイオフされる状況も見られる。また州からの失業保険給付金に週600ドル(約6万4500円)を上乗せする特別措置の終了が近づいていることから、米経済は向こう数カ月に再び打撃を被る恐れがある。

  6月の雇用の伸びは、特に娯楽・ホスピタリティーと小売りの分野で顕著だった。また診療所や歯科医院も再開の動きが広がったことから、ヘルスケアの分野も大きく増えた。

  人種的マイノリティーと女性の雇用環境は、白人や男性より悪い状態が続いた。黒人の失業率は15.4%に改善(前月16.8%)したものの、白人の10.1%(前月12.4%)との差は広がった。ヒスパニック系は14.5%(前月17.6%)に低下した。

  また家計調査によれば、6月には280万人余りが恒久的に職を失った。前月と比べて58万8000人増え、2009年初め以来の大幅増加。

  平均時給は前月比1.2%減少。低い賃金の職種で雇用が増えたことを反映した。5月は同1%減だった。6月は前年同月比では5%増。低賃金の労働者は、前年の水準をなお大きく下回っている。

  週平均労働時間は34.5時間に減少。前月は34.7時間。

  「U6」と呼ばれる不完全雇用率は18%に低下し、経済にとっては明るい兆候となった。U6にはフルタイムでの雇用を望みながらもパートタイムの職に就いている労働者や、仕事に就きたいと考えているものの積極的に職探しをしていない人が含まれる。

  労働参加率は61.5%に上昇した(前月60.8%)。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:U.S. Adds 4.8 Million Jobs, Exceeding Forecast; Claims Elevated(抜粋)

(統計の詳細を追加し、更新します)
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