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中国最大の証券会社でも人種差別議論-黒人トレーダーが問題提起

  • オセキタ氏の電子メールへの人事責任者からの返信が批判招いた
  • 「業務に無関係の問題」とは残念だとオセキタ氏

中国最大の証券会社、中信証券で人種差別を巡る議論を巻き起こそうとした黒人トレーダーの試みをきっかけに、中国政府系企業が海外事業を拡大する中で多様性の問題にいかに取り組んでいるかが垣間見えた。

  中信証券傘下CLSAのロンドンオフィスでクレジットトレーダーとして働くミシミ・オセキタ氏は6月上旬に「黒人の命は大切」と題した電子メールを従業員100人余りに送付した。事情を直接知る関係者が明らかにしたもので、米ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイド氏が白人警官による暴行で死亡した事件を踏まえ、米国や世界で黒人が直面している問題を知ってほしいと同僚らに訴えた

  オセキタ氏は同事件に「強い衝撃を受けるとともに、職業人生と私生活の双方で過去に経験し、現在も続く人種差別的な出来事全部を思い出した」とメールに記し、「少なくともこのロンドンオフィスで黒人は現在、自分1人だけと思い、たまに孤立無援に感じ得る」と付け加えた。

  同メールを受け、CLSAの人事責任者ジョディ・ワン氏(香港在勤)はオセキタ氏に返信したのだが、そのやり方が一部従業員の批判を招いた。人種問題に関する開かれた議論を後押しすると提案し、CLSAは差別を容認しないと強調したが、それと同時に「グループ作業用の電子メールは業務以外の話題について私的な見解を表明するのに適切なプラットフォームではない」と説明したためだ。

  オセキタ氏はこれに対して「業務に無関係の問題とあなたが見なしているのは残念だ」と指摘し、ワン氏のメールのせいでCLSAの幹部らとこの問題を話し合うのは気まずいと感じるようになったと付け加えた。

  米国ではこのところ、ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースなど大手金融機関が黒人の幹部昇格を増やし、人種問題に関する他の取り組みを推し進める方針を相次いで示した。オセキタ氏はワン氏への返信で、「他の投資銀行が現状にどう対処し、黒人従業員へのサポートをいかに示しているかを見てほしい」とした。

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  CLSAはブルームバーグ・ニュースの質問に電子メールで回答し、機会均等を積極的に推進し、ジェンダーや人種、民族、身体能力、年齢に基づく差別はしていないと説明。また、職場での多様性を巡る議論を奨励し、全ての従業員にインクルージョン(一体性)に関する必須トレーニングを提供していると明らかにした。

  CLSAのアソシエートディレクターでもあるオセキタ氏は、コメントを控えている。

原題:
CLSA Trader Sparks Debate on Race at China’s Biggest Brokerage(抜粋)

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