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韓国与党首長セクハラ疑惑、「#MeToo」巡る革新陣営の亀裂露呈

  • 自殺したソウル市長を巡り守旧派と若手議員の対応に違い
  • 女性の地位向上ほとんど前進せず-男女所得格差はOECD最大

朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長の自殺は、韓国の文在寅大統領率いる革新陣営内部の対立を浮き彫りにした。守旧派が市長の功績をたたえることを望んでいるのに対し、より若い世代はセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)疑惑を残したまま死亡した人物と距離を置こうとしている。

  文氏は「フェミニスト大統領」になることを公約の一つに掲げて当選したが、支持基盤であるリベラル層はそれが果たされるかどうか注目している。朴市長は人権派弁護士として韓国初のセクハラ裁判で勝利するなど、革新派のヒーロー的存在だったが、市長からセクハラ被害を受けたとされる元女性秘書が警察に告訴状を提出した後に行方不明となり、10日未明に遺体で発見された。自殺と断定されている。

Seoul Mayor Park Won Soon Interview

朴元淳ソウル市長

写真家:Jean Chung / Bloomberg

ソウル市長、遺体で発見される-遺書とみられるメモ公開

  朴氏は2022年大統領選の有力候補の1人と見られていた。元秘書は不適切な身体的接触に加え、市長からわいせつなメッセージや写真が携帯電話に送られたとしている。革新系与党「共に民主党」に所属する首長のセクハラ問題発覚は、安熙正(アン・ヒジョン)前忠清南道知事、呉巨敦(オ・ゴドン)前釜山市長に続いて3人目。

  保守系野党は朴氏の行為を非難したが、革新陣営の一部若手議員もこれに加わり、4年間にわたって市長からセクハラを受けたとされる元秘書への支持を表明した。

  与党は14日の会合で朴氏の疑惑についてコメントしなかった。

  文政権の発足後、政府や企業で働く女性の地位向上はほとんど前進していない。韓国の女性に支払われる賃金の水準は男性を32%下回っており、経済協力開発機構(OECD)加盟国で男女の所得格差は最大だ。

  韓国でも18年にセクハラ被害を告発する「#MeToo」運動が広がったが、その後、勢いは失われている。

日本と対照的、「#MeToo」盛り上がる韓国-セクハラ告発続く

  韓国政治アカデミー(KAPOL)のキム・マンフム院長は、革新陣営が男性優位の韓国社会で女性が直面する困難を解決する取り組みを怠れば、長期にわたって痛手を被るだろうと指摘。「与党は傲慢な態度を改め、批判の一部に留意する必要がある。そうしなければ限界に達する」とした。

  朴氏の死去を受け、警察当局はセクハラ被害の捜査を打ち切った。聯合ニュースによれば、告訴状を提出した元秘書には支持の声も寄せられているが、虚偽の主張だと決めつける人々から探し出して報復するとの脅しも受けている。

原題:
Seoul Mayor’s Death Exposes Split in Moon’s Party Over #MeToo(1)(抜粋)

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