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「テクノナショナリズム」台頭か-新たな対中戦線開いた米国

  • インターネット分断が一段と進む-日豪印でも中国アプリ規制の動き
  • 中国ネット企業の国外での成長を著しく妨げる可能性

米国はテクノロジー企業規制という中国式のやり方で、中国との争いを拡大しつつある。中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)に動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業について営業禁止をちらつかせて売却を迫る米国の動きは、世界経済に予期せぬ多大な影響を及ぼしかねない。

  トランプ米大統領が定めた9月15日の期限までに、マイクロソフトもしくは別の米企業がティックトックの米事業買収で合意したとしても、それはインターネットの分断が1つの到着点に達したことを意味する。中国が多数の米テクノロジー企業を締め出し、フェイスブックアマゾン・ドット・コムの代わりに、テンセント・ホールディングス(騰訊)やアリババグループが幅を利かす独自のオンライン世界を構築したことで、こうした分断が始まった。

ティックトック巡りトランプ大統領はどう動くのか

夜明け:オーストラリア。」 (出典:ブルームバーグ)

  ネット社会のみならず、テクノロジー業界も分断されつつある。言論の自由や資本主義といった価値観に反するとの嘆きも聞かれる一方で、地政学上のライバルとその軸であるテクノロジー産業を抑え込むためにはあらゆることをすべきだとの主張も展開される。

  シンクタンクのニュー・アメリカでサイバーセキュリティー政策と中国デジタル経済を担当するサム・サックス研究員は「米国にとって危険な先例になる。われわれはテクノナショナリズムへの道を歩んでいる」と話す。

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  それがどのような影響を招くか世界はまだ見極めているところだが、米政府の動きはインターネットのデカプリング(切り離し)という発想がいかに急速に現実になっているかを如実に示している。

  インドはティックトックやテンセントの「微信(ウィーチャット)」を含む数十のモバイルアプリを禁止。オーストラリアと日本でも同じような中国アプリ規制という選択肢の検討が伝えられている。

中国企業提供アプリ、リスク分析必要-自民・甘利氏ら政府に提言へ

  問題は、ネット上のやり取りや振る舞いまで含めたあらゆる個人情報を含むデータを誰が管理するかだ。インド同様、米国はこうした情報がティックトックから中国政府に筒抜けになるのではと疑念を抱いている。

Tiktok Downloads

  中国側にとっての懸念は、米国がどこで線引きするか明確でないことだ。中国伝媒大学マルクス主義学院の趙瑞琦副院長は、「トランプ大統領の動きはインターネットを分断しかねないもので、世界が回避すべきものだ。各国はインターネット統治という点について国家安全保障の限界を巡る協議をすべきだ」と指摘する。

  ブルームバーグ・インテリジェンスの凌煒森、ティファニー・タム両アナリストは「セキュリティー懸念から、また地政学的緊張に伴う報復として、中国のモバイルアプリを禁止するとの威嚇が世界的に広がっており、中国のインターネット企業の国外での成長を著しく妨げる可能性がある。グローバルな野心を持ち、中国国外で利用される割合が比較的高い歓聚集団やトリップドットコムグループ(携程集団)、テンセント、アリババ、ネットイース(網易)が最大のリスクに直面する公算が大きい」と分析している。

China Downloads

原題:Trump’s TikTok Assault Opens New Front in Tech War With China(抜粋)

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