トランプ氏の最高裁判事人選、女性票獲得にはつながらない公算大
Josh Wingrove、Misyrlena Egkolfopoulou、Greg Stohr-
死去したリベラル派ギンズバーグ判事の後任に保守派バレット氏指名
-
人工中絶は「常にモラルに反する」とバレット氏は主張
トランプ米大統領は26日、今月死去したリベラル派のルース・ベーダー・ギンズバーグ連邦最高裁判事の後任にエイミー・コニー・バレット氏を指名すると発表した。女性を選ぶとの公約は果たしたが、11月の大統領選に向けて女性の支持急増にはつながらない公算が大きい。バレット氏が上院の承認を経て就任すれば、史上最も保守的な女性最高裁判事が誕生する。
ギンズバーグ氏とバレット氏の立場は、女性の人工妊娠中絶権利といった少なくとも一つの問題で非常に対照的だ。ギンズバーグ氏は中絶問題で女性の選択の自由の擁護者だった。一方、カトリック教徒で7人の子供の母親であるバレット氏は、中絶が「常にモラルに反する」と主張、連邦高裁判事として中絶手術に制限を加える判断を下している。
共和党が過半数を握る上院でバレット氏指名は承認される公算が大きい。就任すれば、最高裁の性別バランスは男性6人、女性3人で維持される。保守派ではバレット氏が唯一の女性となる。
バレット氏の指名はトランプ氏にとってリスクを伴う。指名に対する反応や世論調査は、女性有権者が性別以上に判事候補が下す可能性のある判断や裁判記録に関心があることを示唆している。
中絶に反対する保守的な女性は元々トランプ氏支持者だが、女性有権者に占める割合は小さい。世論調査は、トランプ氏による最高裁判事の人選に基づいて民主党候補バイデン前副大統領への支持を変更する女性はほとんどいないことを示している。
キニピアック大学が23日に公表した全国世論調査によると、バイデン氏に対する女性の支持率は58%と、トランプ氏の38%に20ポイントの差をつけている。ニューヨーク・タイムズとシエナ・カレッジが27日公表した別の世論調査でも女性の支持率でバイデン氏は57%と、トランプ氏の37%にリードしている。
民主党と進歩派グループは、ギンズバーグ氏死去後に寄付金が急増している。バレット氏指名が中絶の権利や医療費負担適正化法(ACA=オバマケア)、LGBTQ権利への脅威になると訴える戦略だ。
原題:
Trump’s Barrett Choice May Not Sway Female Voters He Lacks (1)(抜粋)