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トランプ政権によるTikTok配信禁止令、越権行為の可能性-判事

更新日時
  • TikTok配信禁止、越権行為の可能性-ワシントン連邦地裁判事
  • ティックトックによる脅威についての証拠「まだ不十分」-判事
Prepare to be manipulated.
Prepare to be manipulated. Photographer: Bloomberg/Bloomberg

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米連連邦地裁の判事2人は今月に入り、中国製アプリが米国の国家安全保障に脅威を与えており禁止措置は妥当とのトランプ政権の主張は証明されなかったとの判断を相次いで下した。

  ワシントン連邦地裁のカール・ニコルズ判事は28日に開示された意見書で、米政権が発動しようとしていた動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の配信禁止を一時的に差し止めた前日の判断の理由を説明。配信禁止令を発表する際に行使された国際緊急経済権限法の下、米政府が法的権限を越えた可能性があると論じた。

  差し止め命令が出されなければ、米東部時間27日午後11時59分(日本時間28日午後0時59分)に配信禁止措置が発動していた。同判事が下した判断の理由は、米政府の訴えの一部に企業秘密情報が含まれていたとの理由で、28日になって公開された。

  中国の通信アプリ「微信(ウィーチャット)」に対するトランプ政権の同様の措置についても、サンフランシスコの連邦地裁のローレル・ビーラー判事が19日に一時差し止めを命じていた。

トランプ大統領のウィーチャット禁止措置、米地裁が仮差し止め命令

証拠不十分

  これら判断が示すのは、判事らは中国が脅威をもたらすとの考えには同意する可能性がある一方、両アプリ自体が問題であるとの証拠をトランプ政権がまだ示せていないということだ。ティックトックとウィーチャットの親会社が米利用者の個人情報を集めていると主張してきたトランプ氏にとっては、少なくとも一時的に打撃となる。

  ニコルズ判事は、中国が国家安全保障上の脅威であるという「十分な証拠」を米政府は提供したが、ティックトックによってもたらされる脅威の証拠については「まだ不十分」だと説明。ビーラー判事も、ウィーチャットに関して政府が提示した安全保障上の脅威の証拠は不十分との認識を示していた。

  ニコルズ判事は、米政府が国際緊急経済権限法の下で法的権限を越えたと証明することにティックトックの親会社である北京字節跳動科技(バイトダンス)は成功する可能性が高いと指摘。ティックトックが主に動画や写真などの共有に使われていることを考えると、トランプ政権が根拠とした同法で「情報資料や個人的通信」を禁じることはできないとの考えを示した。

  同判事はアプリ配信禁止に対する一時差し止めは認めたが、11月12日に予定される米国内でのアプリ使用をさらに制限する一連の禁止措置については差し止めを命じなかった。

原題:TikTok Ban by Trump Likely Exceeded Authority, Judge Says (1)TikTok, WeChat Security Threat Has Yet to Be Proven, Judges Say(抜粋)

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