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NTT再編劇、親子上場や5Gなど市場連想生む-転換点なるか

更新日時
  • 規制改革目指す菅政権の下で企業再編が進む可能性-大和証・石黒氏
  • 親子上場解消狙う株式市場へのメッセージ-しんきんAM・藤原氏

時価総額が8兆円を超える上場2社の巨大な再編劇が動き出した。株式市場ではNTTのグループ再編や親子上場問題へ今後連想が広がるのではないかとの見方が出ている。

  NTTは29日、株式公開買い付け(TOB)を通じたNTTドコモの完全子会社化について引け後に正式発表した。グループ一体で次世代通信規格「5G」に投資して成長につなげるほか、経営効率化を図ることが狙いだ。同子会社化に関しては、日本経済新聞が先に報じていた。

Japan's New Prime Minister Yoshihide Suga News Conference

菅首相のもとで業界再編は進むか.

Photographer: Carl Court/Getty Images/Bloomberg

  29日の株式市場では、NTTデータやJTOWERなどNTTのグループ企業や大株主企業の一角が上昇。また、NTTの再編で5Gの投資が加速するのではないかとの期待から、アンリツや日本電産など通信機器や電子部品なども高くなった。

  三菱UFJリースと日立キャピタルの経営統合から間もない巨大な再編劇とあって、株式市場では中期的には親子上場問題がクローズアップされるのではないかとの声もある。

  大和証券投資情報部の石黒英之シニアストラテジストは「日本を代表する企業が予想以上にスピーディーに動いてきた。菅義偉政権は規制改革や既得権益の打破、企業再編を政策として打ち出している」とし、「親子上場解消がほかにも広がる可能性がある」と指摘。対象では電機や精密機器、自動車業界などがあると述べた。

  29日はトヨタ自動車が大株主の日野自動車や豊田合成など、トヨタグループの一角も上げた。三井住友DSアセットマネジメントの金本直樹シニアファンドマネージャーはNTTの再編について「ESG(環境・社会・企業統治)の流れや株主からのプレッシャーもある中で企業として親子上場にどう対応するかが求められそうだ」と述べた。親子上場問題に関しては日立グループの再編が進展しているとあって、市場の再編思惑はトヨタグループなどに向かう可能性があるとも予想した。

  しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は「親子上場は少なくとも投資家からみて好ましくない」と指摘する。その上でNTTの筆頭株主が政府であることについて触れ、「NTTとしては筆頭株主の政府の意向に逆らえない。親子上場をなるべく解消していく方向という日本の市場に対してのメッセージになる。親子上場解消が増えてくようならここが起点かもしれない」と話した。

(最終段落に市場コメントを追記します)
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