コンテンツにスキップする
Subscriber Only

バイデン次期米大統領の経済的課題、景気回復ペースの持続性が鍵に

  • 公衆衛生政策が厳格化されれば弱い景気回復を危険にさらす恐れ
  • 10月の米雇用統計、経済が改善し続けていることを示唆

 

1日を始める前に押さえておきたい世界のニュースを毎朝お届け。ブルームバーグのニュースレターへの登録はこちら。

米大統領選で当選を確実にした民主党候補ジョー・バイデン前副大統領は、ここ数世代で最大級の問題を抱えた状態にある米経済を引き継ぐ。バイデン政権は経済の弱い勢いを下支えし、数百万人の再就職を支援する必要がある。

  新型コロナウイルス感染が再び急増し始める中で、感染拡大防止のために公衆衛生政策が厳格化されれば、景気回復を妨げ、企業の採用をさらに困難にさせかねない。同時に感染拡大は経済的ハードルをもたらしており、対処しないと連鎖する恐れもある。

  ただ状況は徐々に改善しており、10月には非農業部門雇用者数が前月比63万8000人増加し、失業率は6.9%に低下した。記録的な家計支出で7-9月(第3四半期)の経済成長率は大幅に回復し、製造業は弾みをつけている。通常より高い貯蓄率は今後数カ月に消費を後押しし、次期大統領の経済運営にとっても追い風になりそうだ。

  それでも労働市場の回復の道のりはまだ長い。新型コロナ感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)の前の2月時点よりも雇用者数は1000万人少ない。

U.S. October job growth exceeds forecasts, though millions remain unemployed

  新型コロナの感染者数が最多を更新し、再び経済封鎖の波が来る恐れがある中で、こうした初期の雇用回復をさらに積み重ねられるかどうかは、ワクチン開発と大規模な配布が鍵を握る。また、最近の景気の勢いの持続性は、選挙前に何カ月も議会で協議がまとまらなかった追加経済対策にも一部左右される。

  失業者や中小企業向けの追加の政府支援がなければ、個人消費のペースは恐らく鈍るだろう。週600ドル(約6万2000円)の失業給付上乗せは数カ月前に終了しており、年末にはさらに消費者保護策が失効するため、何百万に上る失業者世帯の家計が脅かされている。

  マリア・フィオリニ・ラミレスの米国担当チーフエコノミスト、ジョシュア・シャピロ氏は「元の状況に戻るには長い時間がかかるが、正しい方向に進んでいる」と指摘。「感染状況の行方は、人々の行動や経済活動への意味という点で非常に重要になる。そのため不透明感は依然として根強い」と付け加えた。

Long-term unemployed make up nearly a third of total U.S. joblessness

原題:
Biden’s Economic Challenge Rests on Sustaining Pace of Recovery(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE