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アジア太平洋諸国、RCEP署名-世界最大級の自由貿易協定

更新日時
  • 日中韓のほか豪州、NZ、ASEAN10カ国が署名
  • インドについては再び参加の道が残されている

日本と中国、韓国などアジア太平洋地域15カ国が15日、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の協定に署名した。RCEP経済圏は世界の人口および国内総生産(GDP)の3分の1近くを占め、世界最大級の自由貿易協定(FTA)となる。

  日中韓のほかオーストラリア、ニュージーランド、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国が参加するバーチャル形式の首脳会合で、10年近くを費やしてまとめられたRCEPは署名に至った。

  ASEAN議長国ベトナムのフック首相は署名式典を前に、「交渉がまとまったことは、多国間貿易システムを支持する上でのアジアの役割を確認する強いメッセージだ」と語った。この合意は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で傷ついたサプライチェーンの発展と景気回復を支えることに寄与するとも指摘した。

  RCEP経済圏は人口22億人、GDPは合計26兆2000億ドル(約2740兆円)規模となり、関税引き下げや共通の原産地規則の下でのサプライチェーン強化、新たな電子商取引規則の整備を通じて、新型コロナのパンデミックで大きな打撃を受けた経済てこ入れにつながるとしている。

World’s Biggest Trade Deal

RCEP: 15 countries, 2.2 billion people, a combined GDP of $26.2 trillion

Source: IMF

  RCEP交渉はインドが昨年抜けた後も、残る15カ国が合意に向けた取り組みを続けてきた。インドについては再び参加の道が残されている。

  S&Pグローバル・レーティングのアジア太平洋チーフエコノミスト、ショーン・ローチ氏は「インドの将来的な参加を認める条項は象徴的で、域内3位の経済大国との経済的つながりを構築したい中国の思惑を示している」と語った。

90%以上の関税撤廃と経産相

  梶山弘志経済産業相は署名式後、RCEP全体で日本の工業製品の90%以上の関税が撤廃されるとし、「日本からの輸出促進や地域内のサプライチェーン効率化の効果は大きい」と記者団に語った。早期のインド参加実現に向けて、同国側の環境を整備するため最大限の支援を行う考えも示した。

  日本経済団体連合会(経団連)の中西宏明会長は「アジア太平洋地域には、多くのわが国企業が事業を展開している。地域内の貿易・投資の拡大および効率的かつ強靭(きょうじん)なサプライチェーンの形成に資する」として歓迎するコメントを発表した。

  経済同友会の櫻田謙悟代表幹事も成果を歓迎するとともに「日本にとっては、主要貿易相手国である中国・韓国との間で、初の貿易協定が締結される点が大きな成果だ」とコメントした。 

原題:Asia Pacific Nations Sign Biggest Regional Trade Deal (1)(抜粋)

 

(梶山経産相と経済団体トップの発言を追加して更新しました)
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