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イエレン氏「世界は変わった」と、超低金利下の大型経済対策案を訴え

  • 債務増、憂慮するにはあたらず-財務長官指名承認の公聴会で発言
  • イエレン氏は21日にも承認の可能性-次期上院財政委員長の予定表

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次期米財務長官に指名されたジャネット・イエレン氏は19日、バイデン次期大統領が新型コロナウイルス禍に対応するため先に発表した1兆9000億ドル(約197兆円)規模の経済対策案を巡り、早期成立を議会に訴えるのに当たって低金利環境持続の見通しを強調した。

  上院財政委員会の指名承認公聴会で証言したイエレン氏は、中小企業や失業者向け援助や州・地方自治体への支援金など一連の歳出案について、新型コロナ禍との闘いに必要だと指摘する一方、それに伴う連邦債務残高の増加を憂慮するにはあたらないとの姿勢を表明した。

  前連邦準備制度理事会(FRB)議長であるイエレン氏は金利に関し、「世界は変わった」と明言。「われわれが現在置かれているような超低金利環境では、経済規模に比較して債務残高が増えても、金利負担は増加しないことを目の当たりにしている」と語った。

イエレン氏に早くも共和党の壁、刺激策での「大胆な行動」巡り

Debt servicing costs came down in 2020 as rates plunged

  来月には経済対策案第2弾も打ち出すとしているバイデン氏が目指しているのは、先の金融危機以降に経験した経済の低調な回復を繰り返さないようにすることだ。同氏は当時副大統領だったが、拙速な財政引き締めの結果、労働市場の完全な回復は何年も遅れることになった。

  イエレン氏は「われわれにできる最も重要なことはパンデミック(世界的大流行)退治と米国民への支援、経済を成長させて将来の世代に恩恵となる長期的な投資を行うことだ」と話し、危機に今対処しなければ「財政状況は悪化しかねない」と警告した。上院財政委の次期委員長に就任予定のワイデン民主党筆頭理事が示した予定表によれば、上院は21日にもイエレン氏の財務長官就任を承認する可能性がある。

Janet Yellen Confirmation Hearing For Treasury Secretary Before Senate Finance Committee

リモート形式で証言したイエレン氏(1月19日)

government: salesperson for economic policy after years of defending Federal Reserve thinking and actions. Photographer: Anna Moneymaker/The New York Times/Bloomberg

  ただ、イエレン氏の議論が同委の共和党議員の理解を直ちに得ることはなかった。上院の主導権は20日午後に民主党に移行することになるが、経済対策法案を早急に前進させるには共和党議員の支持が必要とされる。  

  共和党のポートマン議員は「金利は現在、比較的低位にあるが、事態は変化する可能性があることは分かっており、安心し過ぎるべきではない」と述べ、対国内総生産(GDP)比で見た債務残高には「ぞっとする」と付け加えた。

  また同党のスーン上院院内幹事は「金利は低く、借り入れコストはまるでゼロであるかのような主張だが、現実はそうではない。返済が求められるものだ」とし、金利が「正常化」すれば借り入れコストは上昇するとくぎを刺した。

  イエレン氏(74)はこれらの懸念に対し、次期政権の予算論議で財政健全化を説く役割を果たす意向だとして、理解を求めるとともに、長期的に持続可能な連邦財政運営に取り組むと約束した。

原題:
Yellen Opens Debate on Giant Spending Saying ‘World Has Changed’(抜粋)

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