1. HOME
  2. インタビュー
  3. はあちゅうさんのブックライフ 気分に合わせて読みたい本

はあちゅうさんのブックライフ 気分に合わせて読みたい本

文:岩本恵美、写真:有村蓮

>>新刊『繊細だけど戦いたいあなたに贈る わくわくする未来をつくるためのお守り言葉』のインタビュー記事

――自分の気持ちを表現してくれる言葉に出会えるから、読書が好きだそうですね。最近はどんな本を読んでいるんですか?

 エッセイをたくさん読んでいます。何度も読んでいる尾崎世界観さんの『苦汁100%』(文藝春秋)という日記が大好きです。エッセイって、読まれることを意識しすぎていない文章が気持ちいいんですよね。ビジネス的な教訓とセットになっているような文章と違って、すごく自由に受け取っていい文章。人の何気ない日常に癒されています。多分、今はビジネス本の気分じゃないんでしょうね。

――やっぱりその時の気分ってありますよね。「本は心の薬」だと思ってなりたい気持ちに合わせて読んでいるとも。実は「好書好日」も気分で本を選べるような分類をしています。せっかくなので、ピンとくる気分の本があれば教えてください。

【味わう】雨宮塔子『パリごはん』(幻冬舎文庫)

 雨宮さんのパリでのふだんの暮らしを綴ったエッセイ。「こんなものを買いました」「こんなものを作って食べました」といった日記のような本です。出てくる食べ物がどれもおいしそうで癒されます。お会いしたこともないのに雨宮さんのことを身近に感じています。

【笑う・泣く】つづ井『裸一貫!つづ井さん』(文藝春秋)

 「『魂がオタク』なアラサー女子」の話なんですけど、多様性が叫ばれる世の中で、「これが私の生き方だ」って胸を張れるのがいいと思うし、つづ井さんが可愛いんですよね。推しの男性から年賀状をもらったというエピソードがあって、つづ井さんが「私は推しから年賀状が来た女」ということで全ての困難を超えられるみたいになっているのが大好き。「この気持ち、わかる!」ってなります。自分とは違うキャラクターなのに、同じような好きの気持ちを持っているところがたまらなく愛おしいです。

【恋する】林真理子『ワンス・ア・イヤー 私はいかに傷つき、いかに戦ったか』(KADOKAWA)

 林真理子さんの自伝的な小説です。何度も読み返している大好きな作品。きれいなだけの恋愛じゃなくて、恋人に対して張り合ってしまったり見返してやりたいと思ったりする気持ちまでがググッと書いてあって、自分では言葉にできなかった感情に出会えます。そういう言葉の表現を知ることができる本です。

【旅する】宮本輝『錦繍』(新潮文庫)

 過去にいろいろあって離婚した男女が旅先で再会したことから、手紙のやりとりを始めるんですが、「人生とは」ということを考えさせられます。

【愛でる】益田ミリ『ほしいものはなんですか?』(ミシマ社)/松浦弥太郎『日々の100』(集英社文庫)

 妊娠中から産後にかけて、益田ミリさんの本をたくさん読みました。日常を愛でるといった、何でもない中の幸せみたいなものに気づかされます。特に好きなのがこの1冊で、子育て中の女性とバリバリ仕事をしている女性の人生が対比されるように描かれていて、お互いにお互いの人生がちょっとうらやましいと思っている。でも、それぞれに犠牲にしたものもあれば得たものもあるということなんです。特に女性は読んだらメモしたくなるような言葉がたくさん出てくると思います。

 松浦弥太郎さんの本は、常に本棚の一番いい場所に置いていて、何度も読み返しています。松浦さんが大好きなものたちとの出会いやその魅力について熱く語るエッセイで、改めて自分の持ち物へのストーリーを考えたくなります。何気ないものも選ぶ理由を作れば、それだけ人生が楽しくなっていくということにも気づかされた本です。

【考える】町山智浩『アメリカのめっちゃスゴい女性たち』(マガジンハウス)

 全ての女性に読んでほしい本。日本ではあまり知られていないようなアメリカのすごい女性たちを紹介していて、勇気がもらえます。すごい逆境にいる人が必死の努力で大きな成功を掴み取ったという話に読んでいて鼓舞されます。いろんなロールモデルがいて、モチベーションがわいてくる本です。

>>新刊『繊細だけど戦いたいあなたに贈る わくわくする未来をつくるためのお守り言葉』のインタビュー記事