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雑誌のような単行本「手のひら」 様々なテーマを「自分が読みたい」で統一

 「手のひら 1」(本の雑誌社・1760円)は雑誌のようで雑誌ではない不思議な本だ。特集があり、様々なテーマで10人以上の筆者が並ぶ。編集を担当した高野夏奈さんは「雑誌のような内容を、単行本用の紙や組み方でゆったり読めたらいい」と企画した。

 特集は、昨年亡くなったNGOペシャワール会の中村哲医師を取り上げる。会の機関誌発行や広報を担う福元満治さんのインタビューは、活動の軌跡と中村さんの魅力を伝える。吉川浩満さんと山本貴光さんによる春の読書ガイド、大山顕さんの「マンションポエム東京論」も読み応え十分。写真家・長島有里枝さんや『ドライブイン探訪』の橋本倫史さんら注目の書き手も。

 高野さんが「自分が読みたいもの」を集めた。確かに、一見バラバラだけど、不思議な統一感がある。発行時期は未定という第2号、早く読みたい。(滝沢文那)=朝日新聞2020年4月18日掲載