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森本稀哲から本物の「ゴールデングラブ」をもらった話

文春野球コラム ペナントレース2020

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コーチでファイターズに戻ってほしい

 YouTube動画『ひちょりズム』のなかで、僕はひちょりに糸井嘉男との葛藤を尋ね、(現役時代は気をつかって聞けなかった)イップスに関して尋ね、06年プレーオフの記憶を語り合った。それはここで四の五の言うより、動画を見ていただいたほうが早い。

 

 僕がここに書きたいのは森本稀哲が体現していたような「ファイターズ野球」のことだ。普段は1試合1試合に夢中で、なかなか全体を見渡すことができない。が、気がつくと「ファイターズ野球」はだいぶ痩せてしまった。ディフェンスのファイターズは看板倒れになっている。いやまぁ、西川遥輝を始め、守備で魅せる選手は今もいるのだ。僕は大田泰示のライト守備をもっと評価してもらいたいと思っている。

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 が、それは個々の話だ。全体には、信じられないほどエラーの多いチームになってしまった。練習不足だ。本来なら2軍で練習させるべき選手が1軍で出ている。ファイターズは「守備で敵にプレッシャーをかけられるチーム」だった。今はヤマ場で(プレッシャーに負けて)エラーで自滅するチームになってしまった。

 僕は会う度、ひちょりに「現場に戻らないの?」「ユニホーム着る気はないの?」と聞いている。コーチで戻ってほしい。ファイターズは「野球」ができなくなっている。あれはベテランがいなくなり、若いロースターを組んだからなのだろうか。打てば勝つし、打たれれば負ける野球になっている。それでいっぱいいっぱいなのだ。

 僕はファイターズのワカゾーに駆け引きの楽しさを知ってもらいたいし、繋がりで仕事する面白さを覚えてもらいたい。今、打線のなかで「2番・松本剛」がすごく効いている。自打球のケガで近藤健介を休ませていた間も、「松本スタメン」が穴を埋めた。松本はたまたまひちょりの後輩(帝京魂!)だけど、「野球」ができる選手なのだ。状況判断ができて、場面場面でプロの仕事ができる(あるいは仕事をしようとする)。

 松本を見ていると懐かしいのだ。あれはひちょりや賢介が叩き込まれたやつだ。「ファイターズ野球」だ。今ならまだ取り戻せる。

 僕はね、ファイターズはもっと強くなれると信じてるんだ。宝物をありがとう、そう思わないか森本稀哲!?

この流れなら言える。帝京高校、東東京大会優勝おめでとう! 帝京魂!! ©えのきどいちろう

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