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残り5つの自治体も緊急事態宣言解除。経済活動再開へ、今後のステップは?

安倍首相は5月25日、緊急事態宣言を全国において解除すると発表。これからは各都道府県での経済活動再開に向けた取り組みが始まる。

安倍晋三首相は5月25日、緊急事態宣言を全国において解除すると発表。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県そして北海道の緊急事態宣言が解除された。

今回の判断の基準としては、全国で新規感染者数は50人を下回り、入院患者も2000人を切ったことを受け、「世界的にも極めて厳しいレベルで定めた解除基準を全国的にクリアしたと判断した」としている。

経済再生が「安倍政権の一丁目一番地」

安倍首相は新型コロナウイルスと共に暮らしていく「新たな日常」において、「これまでになく強力な3本の矢を放つ」「経済再生こそが、これからも安倍政権の一丁目一番地」と語った。

そのためにも、感染拡大防止を徹底しながら、同時に社会経済活動を回復していくためのチャレンジが必要であることを強調している。

政府の緊急事態宣言解除を受けて、東京都などの5つの自治体は、外出や営業などの「自粛」を具体的にどう緩めていくのか。

現時点でのロードマップと、その指標を紹介する。

【1】東京都

東京都は以下の5つのポイントをロードマップの中で提示。

(1)外出自粛等の徹底を通じて、感染を最大限抑え込む
(2)モニタリング等を通じた、都民生活や経済社会活動との両立
(3)必要な場合には、「東京アラート」を発動
(4)「第2波」に対応するため、万全の医療・検査体制を整備
(5)「新しい日常」が定着した社会の構築

こうした点を考慮して、直近7日間の新規感染者の平均数や新規陽性者における接触歴不明率など7つの指標に基づきモニタリングを行う。

休業要請の緩和については「ステップ0」から「ステップ3」までの4段階で行う方針だ。

東京都が発表した表を見る限り、接待を伴う飲食店やカラオケ、ライブハウスなどに対する休業要請は当面、解除されないことになる。その経営支援策などが課題となりそうだ。

【2】神奈川県

神奈川県でも5月23日に、東京都と同様に「緊急事態宣言解除後の神奈川ビジョン」を発表。

「コロナと共存する新たな社会経済ビジョン」の一環として、

(1)医療体制の維持
(2)医療・福祉担い手の保護、高齢者・障がい者などの保護
(3)新たな社会経済モデルへの転換

の3点を掲げた。

なお、神奈川県では感染状況のモニタリングを神奈川県と東京都の週当たりの感染者数増加率(K値)で確認するとしている。

合わせて重症患者数や医療者に感染が発生している病院数などで医療体制の状況のモニタリングと、県独自のLINE公式アカウント「新型コロナ対策パーソナルサポート」での発熱傾向の把握などを行い、県内での感染拡大状況を総合的に判断する方針だ。

神奈川県では、休業要請の緩和については2ステップを提示している。

【ステップ1】
・事業者がガイドラインに基づく適切な感染防止対策を講じることを前提に休業要請を解除
・事業者は自ら感染防止対策の創意工夫を図り、段階的に営業を再開(原則、夜10時までの時短営業を要請)
・小規模イベントの開催も可能

【ステップ2】
・時短営業を解除
・中規模イベントから順次開催を可能とする

【3】千葉県

千葉県では新規感染者数、1週間単位の増加比、PCR検査の陽性率の3点をモニタリングし、「複数の指標が目安に該当した場合は、クラスターの発生や感染経路不明者の割合、入院患者数の状況等を勘案して、施設の使用停止の再要請等について総合的に判断」するとしている。

休業要請等の緩和に当たっては
(1)千葉県が定める「再開にあたり取り組むべき感染拡大防止対策」を行うとともに、業種別のガイドラインが策定されている場合にはそれを遵守すること
(2)ホームページ掲載や掲示などにより、感染拡大防止のため県境をまたいだ移動を誘発しないよう配慮すること

の2点を求めた上で、5月22日から図書館などから施設の使用停止要請の解除を行っている。施設等は4区分に分類されており、順次、解除が行われていく予定だ。

区分A:図書館等
区分B:大学等、自動車教習所等、劇場等、集会所等
区分C:水族館等、運動施設の一部、遊技場(パチンコ屋、ゲームセンター等)、遊興施設等の一部(個室ビデオ店、ネットカフェ、漫画喫茶等)
区分D:スポーツクラブ等、カラオケボックス、ライブハウス、キャバレー、ナイトクラブ等

【4】埼玉県

埼玉県では、外出自粛や休業要請の緩和および解除について以下の4つの指標で判断するとしてる。

(1)新規陽性者数(集団感染を除く)
(2)感染経路が不明の孤発割合
(3)重症者数が病床を占める割合
(4)東京都の1週間の感染者数

午後7時以降の飲食店での酒類の提供については、1週間で確認された新規陽性者数が35人以下となった場合に緩和、週7人以下となった場合に解除される。

またナイトクラブやカラオケなどは週10人以下の新規陽性者数で解除される方針だ。

【5】北海道

北海道は「新北海道スタイル」安心宣言と題した文章を発表し、7つのポイントを習慣化することを事業者にも呼びかけている。

(1)スタッフのマスク着用や小まめな手洗いに取り組みましょう
(2)スタッフの健康管理を徹底しましょう
(3)施設内の定期的な換気を行いましょう
(4)設備、器具などの定期的な消毒・洗浄を行いましょう
(5)人と人との接触機会を減らすことに取り組みましょう
(6)お客様にも咳エチケットや手洗いを呼びかけましょう
(7)お店の取り組みをお客様に積極的にお知らせしましょう

そうした中で、5月25日以降に適切な感染防止対策の実施と取り組み内容の可視化など、「新北海道スタイル」を実践する準備が整ったところから制限を一部解除するとしている。

石狩地方以外では大型商業施設やパチンコ店等の休業要請も解除されており、社会経済活動の再開へ向けた取り組みが始まっている。