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実は今季「世界で最も完投」…大野雄のカギは“防御率と奪三振” 中日で憲伸以来16年ぶり沢村賞なるか

2020年10月30日 11時30分

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力投する大野雄

力投する大野雄

渋谷真コラム・龍の背に乗って

◇29日 阪神3―1中日(甲子園)
 もがいて、苦しんで、エースはクオリティースタートで踏ん張った。なのに西勇にスミ1。ここで助けず、いつ助ける! プスリとも言わぬ打線に腹を立てながら、沢村賞の行方を考えた。
 中日の受賞者は杉下茂(51、52、54年)、権藤博(61年)、小川健太郎(67年)、星野仙一(74年)、小松辰雄(85年)、今中慎二(93年)、山本昌(94年)、川上憲伸(2004年)の8人。16年ぶりの受賞の可能性について、2人の左腕からは事前にお言葉をいただいていた。
 「菅野の開幕13連勝はインパクトあるけど、先発完投の基準に照らし合わせれば大野でしょ」と今中さんが言えば、山本昌さんも「大野が有利だと思っているし、僕が選考委員なら選ぶ」と頼もしい。僕も信じる。だけど楽観はできない。
 沢村賞には7項目の選考基準がある。15勝、150奪三振、10完投、防御率2・50、200イニング、25試合、勝率6割だ。大野雄がクリア済みもしくは可能性があるのは奪三振、完投、防御率、勝率の4項目。巨人・菅野は勝利数、防御率、勝率の3項目。言うまでもなく大野雄の圧倒的な売りは10完投にある。
 昨季の沢村賞は巨人・山口俊と日本ハム・有原が4項目をクリアしたが、19年ぶりに該当者なしとしたのは完投数(0と1)が理由だと言われている。野球スタイルの違いといえばそれまでだが、各国の最多完投は大リーグが2、韓国が1、台湾が4。継投と球数管理が常識の野球界で、今季の大野雄は「世界で最も完投した投手」と言っていい。
 一方、歴代受賞者で最少勝利は88年・大野豊(広島)の13勝。短縮シーズンとはいえ、大野雄の10勝がどう判断されるか…。恐らく次戦が今季最終登板。勝って勝率6割の基準をクリアすること(黒星だと6割以下)。残り9の150奪三振と、防御率のタイトルが、選考委員会の心を射抜くポイントになりそうだ。

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