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競馬の不可思議さ感じる「大阪杯→宝塚記念」[本城雅人コラム]

2020年6月29日 10時39分

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宝塚記念で後続を引き離しゴールに向かうクロノジェネシス(左)。右端は2着のキセキ=28日、阪神競馬場で

宝塚記念で後続を引き離しゴールに向かうクロノジェネシス(左)。右端は2着のキセキ=28日、阪神競馬場で

「ぱかぱか日和」


 出足がつかず後方からの競馬になった武豊騎手のキセキが向正面で上がっていった。後ろをレーン騎手のグローリーヴェイズ、さらに内にいたルメール騎手のサートゥルナーリアが追走した時は名手の共演になる、ただし競馬によくある「我慢した者が利する展開」、つまり「武豊→レーン→ルメール」の順になるとゴール前のイメージが浮かんだ。ところが実際に乗っているジョッキーの感覚はそんな余裕ではなかったようだ。キセキが2着に残り、それより前にいたクロノジェネシスが4コーナー先頭のまま6馬身離して大勝した。しかも3コーナー過ぎのキセキがまくってくるタイミングより一瞬早く、さらに内にいたラッキーライラックより先に仕掛けた北村友一騎手の判断は見事だった。クロノジェネシスはやや重の秋華賞、重馬場の京都記念を勝った重巧者だが、それにしてもこのメンバーでこれだけの差がつくとは、ちょっと現実感が湧かない…。
 もう一つ、今回は競馬の不可思議さも感じた。2017年に大阪杯がG1に昇格した時、私はどうしてこのレースをG1にしたのかと懐疑的だった。ドバイや香港遠征する古馬の引き留めに関係者から中距離G1の創設が求められていたが、作ったところでドバイや香港に行く馬は行くし、しかも舞台は宝塚記念と200メートル違うだけの阪神競馬場なのだ。大阪杯を快勝した馬は宝塚記念も勝つだろう…番組が単調になるのを心配した。
 ところがG1になった1年目の覇者キタサンブラックは宝塚記念でよもやの9着、今年の大阪杯はラッキーライラック―クロノジェネシスの着順だったが、宝塚では大逆転となった。
 結果には馬の体調や天候、馬場などさまざまな要因があるが、春先の阪神(それでも大阪杯まで6週使っているが)と、3開催使い込んだ春競馬最終週の阪神ではまったく違う競馬場になるようだ。この日の結果を今後も忘れないでいたい。(作家)

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