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締めたアマゴに水は禁物

2024年4月6日 05時05分

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職漁師からの学びが多かった頃、20歳の筆者(昭和53年4月)

職漁師からの学びが多かった頃、20歳の筆者(昭和53年4月)

白滝治郎の流れとともに(126)
 郡上地方は3月下旬になってからも雪が降るなど気候が安定しない日が続いている。今回はかつて職漁師から学んだ豆知識を一つ紹介したい。
 筆者が若いころアマゴの解禁からアユが始まるまでの間は、時間の許す限りアマゴ釣りに川へ通い詰め、釣ったアマゴは時々、料理店や仕出し店に買ってもらっていた。後に釣聖(ちょうせい)と呼ばれたアマゴ釣り名人で職漁師だった恩田俊夫さんが経営するレストラン「芳花園(ほうかえん)」へアマゴを持ち込んだときのことだった。当時は釣ったアマゴは郡上魚籠(ぐじょうびく)に入れて持ち歩いていたが、釣りの最中に魚の腹が溶けて品質が落ちるといけないと思い、アマゴの上に川岸の雪をかぶせた状態で芳花園へと持ち込んだことがあった。恩田さんは「アマゴには雪や氷をかけたらいかん。アユには氷が効くが、アマゴはいかん」と言われた。この時初めて、アマゴは氷や水に漬けてぬらすと水分を含み、鮮度が落ちてしまうことを知った。以後、常に気を付けてアマゴを扱うようになった。
 ひと昔前、職漁師たちは釣りの最中、水に立ち込む際にも魚籠を水に漬けないように気を使い、魚籠にある程度のアマゴがたまると体表のヌメリを布で拭いて、ウオブタ(魚を入れる薄い木箱)に一列に並べ、セイタと呼ばれる背負子(しょいこ)に重ねて載せ、運んでいたという。
 今では釣りの最中はアマゴをアユの引き舟で生かす人が多いと思うが、締めてアイスボックスに入れる際には氷は袋で密閉して下に敷き、スノコなどで隔てた上に魚を置くなり、氷の代わりに保冷剤を使用すると良いだろう。
 (岐阜県郡上市在住、隔週土曜日に掲載)

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