【ハイエース TRD Field Monster 試乗】普段使いの乗り心地を大切にしながら、スポーティな味付けも忘れない仕上がり

「箱バン」という呼び方はご存じでしょうか? 1BOXの商用車のことを販売サイドではこんな呼び方をすることがあります。

現在、「箱バン」の世界でナンバーワンとなっているのがトヨタのハイエースです。これは日本だけの話ではなく、世界でナンバーワンなのがトヨタハイエースです。

圧倒的な積載性は世界中で高く評価されていますが、貨物を積むことを前提にしていますからどうしても乗り心地などはイマイチな部分があります。

そこでTRDが提案してきたのが、ボディチューンとショックアブソーバーの変更で乗り心地を確保しようというものです。この際、スプリングは変更しません。貨物車でスプリングを変更してしまうと、手続きがいろいろと煩雑になりますので、スプリングをそのままで行うことが非常に重要なのです。

まず、ボディ下部にメンバーブレースを装着することで、ボディ剛性を高めています。こうすることでサスペンションが設計通りにきちんと作用することになります。

装着されたショックアブソーバーは、ノーマルがツインチューブであるのに対し、TRD製はモノチューブとしています。ものチューブとすることでオイル容量をアップ、筒径もできる限り太くして高負荷時の性能を確保しています。

ショックアブソーバーのセッティングは伸び側の減衰力をアップするという手法です。こうしたことで、クルマがロールして戻るときにゆっくりとした動きになっています。

コーナーでロールするときもゆったりとした動きですが、それに加えてより戻るときの動きがゆったりとしています。段差越えなどではサスペンションがしっかり動くので、荒れた路面での乗り心地なども確保されています。

貨物車の場合は、決められたカテゴリーのタイヤを使わなければなりません。ハイエースの場合はライトトラックタイヤを使わなくてはならず、装着されているタイヤはグッドイヤーのイーグル#1ナスカーでした。決して乗り心地がいいとは言えないこのタイヤを使いながら、ロングドライブも苦にならないような乗り心地を確保していることには感心しました。

仕事が終わって疲れた状態で帰宅しなくてならないハイエースユーザーの職人さんから、アウトドアレジャーを満喫するファミリー層まで、あらゆるユーザーを満足させる仕上がりとなっているのがTRDのハイエースです。クロカン性能という面を考えないなら、これこそ最強のSUVと言っていいのではないでしょうか。

(文/諸星陽一 写真/小林和久、ウナ丼)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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