新型スープラの外装を細かくチェック。ダクトはダミーでも「飾り」じゃない、レース参戦も想定した各部の空力処理に注目

2019年早々にも発売が予想される新型のスープラ。直列6気筒・3Lターボエンジンを搭載したFRスポーツで、トランスミッションは8速ATとなっています。

しかし、その他の詳細情報はほとんどが発表されておらず、謎に包まれたクルマでもあります。そんな中で今回、プロト実車に触れることができました。ここではそのエクステリアをじっくりと見ていこうと思います。

まずヘッドライト部。大きなLED導光タイプ・ポジションランプの部分は、ウィンカー作動時にはアンバーに光ります。またヘッドライト自体は複眼タイプのLEDヘッドランプとなっています。

ブレーキローターとキャリパーはかなりの大型タイプが採用されました。

ボンネットフードの後端やドア後部、そしてリアフェンダー後方にはダクトを思わせる処理が施されています。

近寄って確認してみるとどうやら現状では穴は開いておらず、通風はしていません。が、樹脂製の別体パーツが組み込まれていることがわかります。

「ダクトがダミーだなんて本格派じゃなくて嫌だ」と思う向きもあるかもしれません。が、実は逆でむしろこのダミーダクトを設置したことこそが評価に値すると思います。

というのも市販車をベースにした改造範囲の狭いレースなどに出走することを考えると、クーリングのためにボディに穴を開けるのはユーザーにとっても至難の技ですし、レギュレーション上も認められないことが多いのです。

しかし装飾品とみなされるような樹脂パーツを取り外すことは、簡単に認可される可能性が高いという現状があるのです。つまり簡単な装備変更でかなり高度なレースに参戦する車両を作ることができる土壌を、トヨタは作ったということなんです(このあたりの話は開発責任者・多田哲也さんもメディアへのインタビュー等で匂わせています)。

このあたり、三菱自動車が競技参戦を念頭にランサーエボリューションにミスファイアリングシステムを搭載しておきながらも、公道走行仕様では作動しないよう封印していたのと考え方としては近いですね。

ドアミラーは支柱の部分が細くなっていて空力に配慮していることがすぐにわかります。また外側端には3本の整流フィンが入っています。

屋根については中央を凹ませたダブルバブルルーフが採用されています。乗員のヘッドルームを必要最低限は確保した上で、可能な限り前面投影面積を減らそうとする姿勢の現れですね。

リヤには日本の道路運送車両法に適応させるため、ボディからタイヤがはみ出さないようにするための樹脂製追加フェンダーが追加されています。これ自体は欧州車の日本仕様などで採用が始まったもので、近年ではクラウンなどにも使われて珍しくないものです。スープラの場合にはその採用範囲が大きく長いことが特徴です。

樹脂製追加フェンダーが追加されているということは、リヤフェンダーに対してタイヤとホイールがよりいっぱいまで外側にセットされていることを表していると思われ、ノーマル状態でもスタンス(ボディとタイヤの位置関係を表すカスタム用語)が良好な状態にあることを証明しています。

バンパーの下部には別体パーツとしてディフューザー構成部分がセットされています。市販車としては異例に大きく張り出していることがわかります。ダウンフォース発生効果も高そうです。

左右にセットされるマフラー・テール部分は内側にスラッシュ処理された、コストのかかったものにものになっていることがわかります。素材はステンレス、もしくはチタンでしょうか。きれいな焼き色が入ってることもわかります。

(写真・動画・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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