コンプリートカー「S209」にも会える。STIギャラリーが新しい生活様式にあわせて営業再開&新企画展を公開

■北米だけで販売したSTIのコンプリートカー「S209」の開発シーンが目に浮かぶ企画展は必見

スバルテクニカインターナショナル(STI)の本拠地といえば東京・三鷹。その本社に隣接する建物(ディーラーの2階)には「STI Gallery」というSTIの歴史や未来を示すギャラリーがあるのをご存知でしょうか。

新型コロナウイルスの影響でしばらく閉鎖されていましたが、この7月4日より土日限定・10時~17時のスケジュールで営業再開しています。感染防止のために一回の入場者数を制限するなどしているといいますが、再開後最初の2日間での来場者数は120名を数えたといいます。多くのスバリスト、STIファンが駆けつけたというわけです。

STI_gallery_22B
常設展示コーナーではSTIコンプリートカーの記念碑的モデル「22B」のほか「神回避」で知られるNBR仕様、WRCを戦ったマシンが展示されている
STI_gallery_NZ_legacy
1993年のニュージーランドラリーでスバルにWRC初勝利をもたらしたレガシィはキレイにレストアされ展示される

そのSTIギャラリーでは常設展示に加えて、企画展「TRY & ERROR 創造の軌跡」が始まっています。

これは北米で、STIが初めてマニュファクチャラー(製造者)として販売したコンプリートカー「S209」の誕生までのストーリーを、実際の開発パーツやエラー品などを展示することでファンに伝えようというもの。

さらに2018年の東京オートサロンに出展したコンセプトカー「VIZIV PERFORMANCE STI CONCEPT」も展示することで、STIの現在と未来を示すという意思も込められている企画展です。

STI_gallery_TRY_ERROR_viziv
触ることはできないが、これほど間近に「VIZIV PERFORMANCE STI CONCEPT」を見ることができるのは貴重な機会

S209開発時の試行錯誤や苦心を感じることのできるインスタレーションや、平岡社長はじめSTI全社員による直筆メッセージも展示されるなど、まさに「STIがなにを考えている」のかを実感できる展示は見ごたえ十分。

SUBARU車のオーナーであったり、STIのパーツを使っていたり、そしてSTIコンプリートカーを所有している喜びを実感できる展示となっています。もちろん、これからSTIのパーツを使っていきたいという人であれば、その思いを強くすること請け合いでしょう。

STI_gallery_TRY_ERROR
STIの全社員(約120名)が愛用品の写真と直筆メッセージにより未来を示している
STI_gallery_TRY_ERROR
開発時に使った本物の資料を使い、エンジニアの頭の中を再現したインスタレーションは興味深い

なにより、日本では未発売のコンプリートカー「S209」を実際に触れることができるというのは、今回の企画展に足を運ぼうというモチベーションになるのではないでしょうか。265幅のワイドなスポーツタイヤを収めるためのオーバーフェンダーを備えたボディは、これまでにない迫力ですから。

また、341馬力という、STI史上最強エンジンを積むコンプリートカーに使われているエアクリーナーやターボチャージャーといったアイテムの本物も展示され、間近に見ることができるのは日本中でもここだけのはずです。

そうした本物のパーツの横に、開発者による直筆のメッセージが書かれているのもグッときます。

STI_gallery_TRY_ERROR_HKS
341馬力のS209専用に開発されたという大型ターボチャージャー。HKSとのコラボレーションであることがわかる
STI_gallery_TRY_ERROR_S209
企画展「TRY & ERROR 創造の軌跡」の主役は北米で209台限定で売られたコンプリートカー「S209」

STIギャラリーの住所は、東京都三鷹市大沢3-9-6。開館しているのは基本的に土日のみで、開館時間は10時~17時。残念ながら駐車場はないので公共交通機関で来訪することになります。

なお、STIファン必見の企画展「TRY & ERROR 創造の軌跡」は、2021年春までの展示を予定しているということです。

STI_gallery_messege
STIギャラリーの目的は、STIのファンである人に「あなたの選択は間違っていなかった」と感じてもらうことだ
STI_gallery_buppan
2020年8月より稼働予定の自動販売機ではSTIギャラリー限定のお土産(手ぬぐいなど)を販売するという
STI_gallery_TRY_ERROR
歴代のコンプリートカー「エンブレム」によるアート的な展示。確実にレベルアップしていることを表現している
STI_gallery_TRY_ERROR_suspension
タイムアタックで使われた本物のサスペンションも展示される
STI_gallery_TRY_ERROR_viziv
STIの未来を示すのがコンセプトカー「VIZIV PERFORMANCE STI CONCEPT」
STI_gallery_legacy
記念すべきWRC初勝利マシンであるレガシィもスタッフの許可を得ることで乗り込んだり、記念写真を撮ることもできる

(自動車コラムニスト・山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
続きを見る
閉じる