任意保険とは?自賠責保険でカバーしきれない部分を補償する保険【自動車用語辞典:交通事故編】

■任意だが万一事故が起きた場合に備えてほとんどのドライバーが加入

●対人・対物賠償や搭乗者、車両など補償対象と内容を自由に選択

任意保険は、自賠責保険の補償額が限定的で人身事故の補償しかできないことから、それをカバーするために自賠責保険とは別に加入します。任意ですが、万一事故が起きた場合に備えてほとんどのドライバーが加入しています。

任意保険の内容について、解説します。

●任意保険の概要

任意保険は、自賠責保険でカバーしきれない部分を補償する保険で、自賠責保険とは別に契約します。単に自動車保険といった場合は任意保険を指し、ほとんどのドライバーは自賠責保険とともに加入しています。

任意保険は、以下の保険がセットになった保険が一般的です。対人補償保険と対物補償保険、人身傷害保険、搭乗者傷害保険、自損事故保険、無保険車障害保険です。

自車の損害を補償する車両保険がありますが、これは保険料が高額になるため、すべての人がセット保険に組み入れるわけではありません。

以下にそれぞれの保険内容について、解説します。

自賠責保険と任意保険
自賠責保険と任意保険

●さまざまな任意保険とその内容

・対人賠償保険

対人賠償について、自賠責保険の不足分を補う保険です。

相手が死亡、後遺障害がある場合の賠償はもちろんのこと、治療費や休業損害なども補償されます。保険金額は、無制限にするのが一般的です。

・対物賠償保険

相手のクルマや物を壊した際の損害を補償します。

相手のクルマや積み荷の他、破壊した建物やガードレールなども補償されます。保険金額は3000万~5000万円が一般的ですが、店舗などを壊すと高額になる場合もあるので無制限にしておけば安心です。

・人身傷害保険

搭乗者の傷害による損害を、過失相殺の割合には関係なくすべて補償する保険です。他人のクルマやタクシーに搭乗した場合の事故にも適用され、治療費や休業災害、精神的損害、逸失利益などが保証されます。

・搭乗者傷害保険

ドライバーを含め搭乗者すべての死傷に備える保険です。家族も対象で、責任が自分自身にあっても補償されます。死亡や後遺障害に対する補償と医療保険金が支払われます。保険金額は500万~2000万円程度が一般的です。

・自損事故保険

ドライバー自身の過失による自損事故に備える保険で、対人賠償保険に自動的に組み入れられます。補償の対象はドライバーのみで、死亡時1500万円、後遺障害50万~1500万円のほかに治療費をカバーする医療保険金もあります。

・無保険車傷害保険

事故を受け、加害者が保険に加入していない、あるいは保険金額が十分でない場合に備える保険です。対人賠償保険に自動的に組み込まれ、保険金額は2億円以内で対人賠償保険と同額です。

・車両保険

自車の損害を補償する保険です。事故相手による補償の不足分をカバーできます。補償範囲の違いによっていくつかの種類があります。交通事故だけでなく自然災害やいたずら、飛び石などの修理についても、保険金が支払われるものもあります。

保険料が高くなるので、加入しているドライバーは約半数足らずです。

●リスク型保険料設定

一般的に任意保険では、ドライバーごとのリスク(事故に遭う確率と予想される損害の大小)によって保険料が設定される「リスク細分型自動車保険」を採用しています。

例えば、以下の条件で保険料が高く設定されます。

・年齢:10~20代若者と高齢者>中間年齢層

・性別:女性>男性

・運転歴:グリーン免許>ゴールド免許

・使用目的:業務使用>通学>通勤>日常生活

・年間走行距離:走行距離が長い>短い

・車種:SUVや高級車>一般のファミリーカー

・地域:事故の多い地域>一般地域


任意保険は、対人・対物賠償や搭乗者、車両など、加入する保険によって補償される対象と内容がさまざまです。

また補償のためには前提条件があるので契約書や約款を確認して、自分の保険がどういう条件でどんな損害を補償してくれるかを、しっかり確認しておくことが大切です。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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