球児が入団した四国IL・高知FDとは

 四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグス(FD)に入団した藤川球児投手(34)が8日、高知市内で会見し、「新しい人生のスタートとして最高の決断ができた」と語った。阪神のクローザーとして大活躍し、メジャーにも渡った快速球右腕が新天地として選んだ高知FDとは、どんな球団なのか。その歴史やユニークな取り組みを挙げてみる。

 ◆指揮官は元阪神の85年V戦士

 チームを率いるのは、現役時代に俊足好守の外野手としてロッテ、阪神で活躍した弘田澄男監督。阪神には84年から4年間在籍し、85年のリーグ優勝、日本一に貢献した。88年から91年までは阪神の外野守備走塁コーチなどを務めている。

 また、南海、ダイエーで活躍後、阪神に4年間在籍した左腕・吉田豊彦氏が投手コーチを務める。ちなみに09年には元阪神の伊良部秀輝投手、伊代野貴照投手が高知でプレーしており、阪神とは縁が深い球団といえる。

 ◆出世頭はロッテ・角中

 これまで6人の選手をNPBに輩出した。出世頭はなんといってもロッテ・角中勝也外野手だ。高卒1年目の06年に在籍し、その年のドラフト7位でロッテ入り。12年にはパ・リーグ首位打者を獲得した。13年にはWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の日本代表メンバーに選出された。

 また、オリックスの主砲・カラバイヨも09年に1年間だけ在籍。高知では打率・359、76打点、18本塁打と大暴れし、打点王と本塁打王の2冠に輝いている。

 ◆初代王者

 四国アイランドリーグが発足した05年に、46勝31敗13分けでリーグ初代王者となった。09年にも総合優勝を果たしている。近年は低迷が続いており、昨年は前後期ともに3位、今年の前期は4位。

 ◆健全経営

 07年に深刻な経営不安が表面化。球団存続の危機に直面したが、公募によって経営を引き継いだ現オーナー・北古味鈴太郎氏の改革で収支が安定。11年にはリーグ4球団で初めて単年度黒字を達成した。

 ◆月給は10万円

 四国ILpの選手の月給は10万円程度。高知FDの選手はほとんどが高知・佐川町にある選手寮で暮らす。旧JR社宅を改修したもので、3DKの部屋に2~3人が共同生活を送っている。

 ◆米・野菜作り

 高知・越知町にある練習グラウンド近くには、地元農家から提供された「ドッグス田」「ドッグス畑」があり、米や野菜作りが行われている。毎年6月に近隣の幼稚園、保育園の園児らと一緒に選手が手作業で田植えをし、11月には収穫した米やジャガイモなどで地元住民とカレーパーティーを開く。藤川も田植えや稲刈りに参加することになるかも!?

 高知FDの昨年の1試合平均観客数は398人。なかなか伸びないのが悩みの種だが、藤川の入団で状況は一変するに違いない。高知県出身の弘田監督は「高知にとって大きな財産になる」と歓迎する。「藤川の球の威力を見たら、うちの選手はみんなビックリすると思う。彼が練習する姿や内容を見て、何かを感じてほしい」。球界を驚かせた藤川の“里帰り”。高知FD、そして四国アイランドリーグにとって歴史的な日々となるに違いない。(デイリースポーツ・浜村博文)

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