【野球】広島・鈴木誠也の心意気「人間いいときばかりじゃないですよ」阪神・藤浪へのエール

 日本の4番の心意気が伝わってきた。2月23日、広島と阪神のオープン戦。四回、1死三塁。沖縄・コザしんきんスタジアムに「4番・鈴木」のコールがこだました。マウンドには制球に不安を残す藤浪。それでも鈴木誠は涼しい顔で打席へ向かい、2ボール1ストライクからの149キロを中犠飛とした。続く五回も平然と打席へ。左飛に倒れたが、打球はやはり強烈だった。

 ここ数年、右の主力打者は藤浪の抜け球を恐れて対戦を避けることが多い。16日の楽天戦(宜野座)も対戦した打者13人すべてが左だった。鈴木誠も首脳陣から「どうする?」との配慮はあったというが、「当たられたらにらみを利かせればいんですよ。逃げてたらダメでしょ」とニヤリと笑った後、「見ておきたいというのもありました。いいピッチャーに変わりはないので」とマジメに続けた。

 「同級生ですしね。自分はいい時も知っている。人間いいときばかりじゃないですよ。何とかしようとやってると思うので」。穏やかな表情で紡ぐ言葉の数々は右腕へのエールのように聞こえた。

 思い返せば16年9月、藤浪が自己最速160キロを計測したのが鈴木誠との対戦だった。剛速球とフルスイングの対決には、名勝負の予感が漂っていた。あれから4年-。鈴木誠は侍ジャパンの4番に成長を遂げ、一方の藤浪は近年の不調から懸命に復調を図っている。

 すっかり大人びた鈴木誠が言うように藤浪がいいピッチャーであることは間違いない。他球団が最も恐れるのは抜け球ではなく、藤浪の完全復活だ。2人のワクワクするような真っ向勝負をファンは心待ちにしている。(デイリースポーツ・杉原史恭)

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