日本だけでなく、世界にも“いぬ”にまつわることわざや格言がたくさんあるのを知っていますか?
今回は各国の言葉とその意味、さらに「犬の生態」について哺乳類学者の今泉忠明先生が解説します!
深イイものもありましたよ♪
①犬は人間の最良の友達【アメリカ】
人は、関係が大きく変わったり、ケンカなどがきっかけで思いがけず離れてしまうことがあります。
しかし、犬はどんなことがあっても飼い主のそばにいてくれる心強い存在であることから生まれました。
今泉先生の解説
犬は泣いている飼い主さんに近づいたり、顔をなめたりと、なぐさめるような行動をすることがあります。
“最良の友”といわれるゆえんは、このように飼い主さんの異変を敏感に読み取れるからでしょう。
②私を愛するなら私の犬も愛して【アメリカ】
原文は「Love me, love my dog」。私を愛してくれるなら、私の大好きな犬も、さらに私の家族や私の欠点などすべてを愛してほしいという、意味合いで使われます。
イギリスでも有名な言葉です。
今泉先生の解説
犬は飼い主さんが知らない人と仲よくしている様子を見て、嫉妬することがあります。
愛犬に寂しい思いをさせないためにも、犬が好きで、一緒にかわいがってくれる人を相手に選びたいですね。
③老犬は無駄に吠えない【エチオピア】
シニア犬は意味もなく吠えたりせず、何か異変があるときだけ吠えることから生まれた表現。
経験豊富な老人が何か意見を言ったなら、耳を傾けたほうがいい、という意味で使われます。
今泉先生の解説
これは犬の生態にも通じます。群れを統率するシニア犬は、無駄な行動はせず、ふだんは静かに過ごします。
その代わり、群れが攻撃されたり飢えたりしそうなときは、群れをリードし、危機を救うのです。
④犬に噛みつかれても犬を噛むな【タイ】
現実では、犬に噛まれても噛み返して対抗する人はあまりいないでしょう。そのことから、相手に危害を加えられても、同じように仕返しはせず、冷静に対処するのが賢い方法である、という教えのこと。
今泉先生の解説
犬の世界でも、無駄な傷つけ合いをなくすための仕組みがあります。ケンカで劣勢の犬が、おなかを見せるしぐさなどで「負けました!」と相手の犬に伝えると、相手の犬は攻撃しなくなります。
⑤書堂の犬、三年にして風月をよむ【韓国】
その昔、「書堂」という日本の寺子屋のような場所では、漢詩(風月)が学ばれていました。
その道に知識がまったくない人(=犬)でも、繰り返し見聞きしているうちに自然と身につく、という意味。
今泉先生の解説
親犬が子犬を教育する方法に通ずるところがありますね。たとえば、子犬に狩りを教えるときは、親犬が目の前で獲物を狩って見せます。
子犬はその様子を繰り返し見ることで、狩りの方法を学ぶのです。
⑥恩知らずの人間より恩を知る犬のほうがまし【イラン】
「犬は三日飼えば三年恩を忘れず」ということわざと同じ意味合いで使われます。犬が飼い主さんに対して忠誠心をもったり、飼い主さんのことを忘れないのは海外でも同じなのです。
今泉先生の解説
犬は信頼している人については、時間がたってもよく覚えています。その理由は、野生時代、自分の群れから離れてしまっても戻ってこれるように、信頼できる仲間の記憶力が鍛えられたためでしょう。
⑦狩りに行くとて犬に餌をやる【ロシア】
猟犬は、ふだんは食事をしっかり与えて体力をつけさせ、狩りの日はおなかをすかせておかないと獲物をとってくれないそう。
そのことから、前もってやっておくべきことを、いざとなってからやりだすという意味。
今泉先生の解説
たしかに、犬は満腹のときは狩りには行きません。その理由は、犬は仕留めた獲物を一気に食べ、その後数日間は何も食べずに過ごし、また空腹を感じたら狩りに行くという食事スタイルが関係しているからです。
⑧いちばん偉大な愛は母の愛で、次が犬の愛、その次が恋人の愛だ【ポーランド】
ポーランドは動物愛護の精神が根づいた国なので、愛犬家もたくさんいます。犬が持っている深い愛を表現するために、母の愛や恋人の愛と比較してこのような言葉が生まれたのでしょう。
今泉先生の解説
犬は一度飼われた飼い主さんに数年ぶりに再会すると、しっぽを振って近づいていきますし、飼い主さんに感情移入する共感力もあるともいわれています。
犬の愛はとても深いといえるでしょう。
参考/「いぬのきもち」2018年1月号『“いぬ”にまつわることわざ・格言カルタ』
(監修:哺乳類学者、日本動物科学研究所所長 今泉忠明先生)
文/Honoka
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。