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本当のビビリはどっちか【穴澤賢の犬のはなし】

もちろん犬にも個性があり、性格もそれぞれ違うし、固有の苦手分野もある。たとえば大吉は雷と花火が苦手だ。空がゴロゴロ鳴りだしたり、遠くで花火の音が聞こえたりするとブルブル震えだす。幼い頃は平気だったのに、2才くらいから突然怖がりはじめた。富士丸もそうだったが、雷や花火を嫌がる犬はなぜか多い。

それぞれの苦手分野

大吉はそれだけではない。暴走族のバイクの音にも怯えるし、風船が割れるような「パン!」という破裂音全般がだめらしい。梱包資材に入っているエアーパッキンですらビビるので、わが家では捨てるときにも音がしないようカッターで切っている。ところが福助は5才になる今もなんともない。花火大会などでブルブルマックス大吉の隣で爆睡している。
そんな福助は、ドッグランが苦手だ。幼いころのトラウマ克服の方が大変だったので、ドッグランに連れて行けなかったのが原因かもしれないが、よその犬と仲よく遊ぶことができない。最初の頃はうなっていたので、これはいかんとあえてドッグランに何度も連れて行っているうちにましになったが、仲よくはできないままだ。
いっぽう、大吉は初対面の犬ともすぐに仲よく遊べる。自分より大きな相手でも怯むことなく、追いかけっこをしたりする。福助はそんな輪に入ることができず、ぽつんとひとりでいることが多い。たまに陽気な犬が「遊ぼう!」と近づいてくると、「こっち来るな!」と逃げたりする。

なぜ苦手なのか

また、どちらも動物病院が苦手なのは同じだが、大吉は諦めた顔で大人しくしているのに対し、福助は「キュ〜ンキュ〜ン」と泣き出す。そして、診察台に乗ると飛び降りようとするためガッチリガードしなければならないし、獣医に触診されるときはそっちを見ないように顔を隠す。
疑問なのが、雷にしても花火にしても動物病院にしても、なぜ彼らはそんなに嫌うのか。特に嫌な思い出があるわけでも、痛い思いもしていないはずなのに。話せたら何がそんなに怖いのか聞いてみたい。まぁそういう自分もなんとなく苦手なものはたくさんあるので同じか。子どもの頃から家で大きな蜘蛛(アシダカグモ)を見たらものすごくビビるし。



プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

ブログ「Another Days」
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大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。

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