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虐待で右目と後ろ足をつぶされ、障がいを負った犬・未来ちゃんに学ぶ「命の授業」

障がいを負った犬・未来ちゃんとともに小・中学校などを回りながら、人や犬の命について説いている、児童文学作家の今西乃子さんの活動を紹介します。

いろいろなヒントが詰まった「命の授業」

障がいを負った犬・未来ちゃん。命の授業は、未来ちゃんのエピソードを軸に話が進められます。
とある小学校の体育館に集まった児童に対し、ひとりの女性が質問を投げかけました。
「自分のこと、好きですか?」
口々に「きらーい!」と答える子どもたち。そしてもうひとつの質問が。
「みんなは幸せになりたい?」
「もちろん」と言わんばかりに小さな手が挙がります。

保護犬を通じて人や犬の幸せを考える、児童文学作家・今西乃子さんの「命の授業」が、こうして始まりました。

保護犬・未来を救ったある女性の心の奥底にあった思い

写真は、「命の授業」で児童たちにいろいろな問いかけをする今西乃子さん。授業の間は、今西さんによるお話のほか、音楽やスライドを流す場面も。
前方のスクリーンに、右目をつぶされ両方の後ろ足を切断された、痛々しい子犬の姿が映し出されました。
この犬が、「命の授業」を導いてくれる未来ちゃんです。
強烈な写真と今西さんの力強い話しぶりに、子どもたちはシンと静まり返ります。

「この子犬は人間から虐待を受け、動物愛護センターに保護されていたところを、山口麻里子さんという女性に引き取られました。麻里子さんは、新しい飼い主が見つかるまでの間、センターから引き取った犬を一時的に預かるというボランティアをしていました。センターの職員からは、『もっと健康な子犬を引き取ったら?』と言われたそうです。でも麻里子さんは、どうしてもこの犬でなければならない理由があったのです。それはなぜだと思いますか?」

誰かを救うということは、自分を救うということ

愛護センターから引き取られた直後の未来ちゃん。右目に傷を負い、両方の後ろ足を切断されていました。(写真提供・山口麻里子さん)
じつは麻里子さんには、飼っていた愛猫を自分の不注意で交通事故にあわせてしまい、安楽死させざるを得ない状況にしてしまった過去があったそうです。
以来麻里子さんは、どこかで自分を責め続けていました。
だからこそ虐待を受けた子犬を見たときに、『このコを救わなければ、自分をずっと好きになれない』という思いがこみ上げ、子犬の命を救うと決めたのです。

再び今西さんが、語気を強めて子供たちに語ります。

「つまり、誰かを救うということは、自分を救うということ。逆に、誰かを傷つけるということは、自分を傷つけている、ということなのです!」
「命の授業」のあと、今西さんに抱っこされた未来ちゃんを順番になでる児童たち。
※各情報は2018年12月5日現在の情報です


出典/「いぬのきもち」2019年2月号『犬のために何ができるのだろうか』
取材・撮影・文/尾﨑たまき
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