「俺はな警視庁捜査一課の伊丹憲一だ」
『相棒』第9話「刑事一人」(テレビ朝日系・水曜午後9時)(公式)。
伊丹刑事(川原和久)さんがカッコいい回であった。

サルウィン人のマニー(田中夏海)が殺される。
無差別外人襲撃自転車集団野郎たちに目星をつけるが、「上から」の命令で捜査本部が設置されないことが決定する。
伊丹刑事は、単独捜査を開始。
ひとりで嗅ぎ回ることで自転車集団野郎たちをおびき寄せた。
囲まれた伊丹刑事。
「上から何も聞いてねぇのか」
「上からだと。
それっぽいこと言いやがって。俺はな警視庁捜査一課の伊丹憲一だ」

啖呵をきる伊丹刑事。
「相棒17」「サルウィンにいる誰か」をみんな気にする。伊丹刑事凄んで怪我して大活躍9話「刑事一人」
イラストと文/米光一成

「馬鹿野郎どもが。てめぇひとりじゃなんもできねぇくせしやがって」
棒でぶんなぐられて、痛みに耐えて、
「てーーおめーー。あいたーーー」
と言った後に、
「でもな傷害罪成立」でニヤリ。
「相棒17」「サルウィンにいる誰か」をみんな気にする。伊丹刑事凄んで怪我して大活躍9話「刑事一人」
イラストと文/米光一成

心配して、病院に駆けつける芹沢さんに伊丹刑事が
「泣くなよ」

「泣いてませんよ」
「泣けよ」
大怪我をしてたいへんな状況でも、軽妙なやりとりになるこのふたりの相棒感。
この後の芹沢さんの「おまえらにやられた刑事の相棒だよ」にもシビレた。

今回名シーン連発だ。

ここから杉下右京さん(水谷豊)が、伊丹刑事のカタキとばかりに、自転車集団野郎を追い詰める。ってならないところが、「相棒」のすごいところ。
異国の人を排除しようとする若者に暴言を吐かせ(「害虫駆除業者が害虫の顔おぼえてないでしょ!」)、しかも本人も「殺した」と思っている状況で、ひっくり返していくのだ。


予想外の犯人逮捕の後。
大物代議士・敷島純大(井上肇)の家に向かう右京さんと冠城亘さん(反町隆史)。
代議士の息子が外国人を襲撃したのは、何か明確な思想があってやったわけではない。ただただ父親に気に入られたかった。
しかも、その父親代議士が外国人に排他的な思想を持つようになったのは「党の最大勢力にならっただけ」。
他者の笑顔をみて、俺をバカにしていると受け取ってしまう。

空虚でろくでもない理由で、人は他者を排除してしまう。差別してしまう。
「相棒17」「サルウィンにいる誰か」をみんな気にする。伊丹刑事凄んで怪我して大活躍9話「刑事一人」
イラストと文/米光一成

そしてラスト。
刑事4人。
歩きながら、サルウィンにいる誰かに思いを馳せる。
第7話の亀につづいて、これは初代相棒亀山薫がもどってくる布石だろうか。

(イラストと文/米光一成)

『相棒season17』第9話「刑事一人」(2018年12月12日水曜日よる9時から):水曜日午後9時/朝日テレビ系

エグゼクティブ・プロデューサー:桑田潔(テレビ朝日)
チーフプロデューサー:佐藤凉一(テレビ朝日)
プロデューサー:高野渉(テレビ朝日)・西平敦郎(東映)・土田真通(東映)
脚本:真野勝成
監督:権野元
音楽:池頼広
制作:テレビ朝日/東映

出演
杉下右京(水谷豊)特命係警部
冠城亘(反町隆史)特命係巡査
角田六郎(山西惇)組織犯罪対策部第五課課長
青木年男(浅利陽介)特命係巡査部長
伊丹憲一(川原和久)捜査第一課刑事
芹沢慶二(山中崇史)捜査第一課刑事
内村莞爾(片桐竜次) 刑事部長
マニー・アンカハス(田中夏海) サルウィン人
マリア(山本ロザ) アニーの姉
敷島純大(井上肇) 大物代議士
敷島純次(藤原季節) 純大の息子
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