可能な限り現金支払いに切り替えた

東京・港区にある飲食店では4月から店内での料理の提供をやめ、テイクアウトやデリバリーのみで営業を続けているが、 もう一つ変えた事がある。

田町の肉バル 肉リーマン 西林悦理オーナー:
支払いはクレジットカードも全てオッケーにはしていたけど、イートインをやめ、テイクアウトに切り替えてから、(可能な限り)すべて現金でお願いするようにしました。
(キャッシュレス決済は)すべてタイムラグがあるので、入金されるまでに。現金がないとうちはうちで、明日生きていけない状況なので、すぐに(キャシュレス決済の)対応はできないです。

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キャッシュレス決済で買い物をした場合、客は決済事業者にその金額を支払う。事業者は、手数料を引いた売上金を店舗に振り込むが、この振り込みまでに、数日ほどのタイムラグが生じるのだ。

田町の肉バル 肉リーマン 西林悦理オーナー:
今うち家賃が73万円ほどかかっているのですが、もうキャッシュが入ったら支払いして、みたいな状況をもう2,3カ月ずっと続けています。完全に自転車操業状態です。

4日に発表された「新しい生活様式」でも利用が促されているキャッシュレス決済。しかし、売上金が振り込まれるまでのタイムラグが、資金繰りの負担になってしまっていたのだ。

売り上げ金振り込み前倒しの動きが

こうした状況を受け、キャッシュレス決済事業者の間では、売上金の振り込みを前倒しにする動きが出始めている。

LINE Payでは、最大2カ月近くかかる売上金の振り込みを、早ければその日のうちに振り込むサービスを1回当たり250円の手数料で行っているが、この料金を6月末まで無料にした。
また、三菱UFJニコスやイオンフィナンシャルサービスなど、一部のクレジットカード会社でも振り込みの前倒しを検討している。

"新型コロナ"でお店と事業者が寄り添う形に

三田友梨佳キャスター:
お店にとって切迫した事情があるなかでの取り組みですが、どうご覧になりますか。

マーケティングアナリスト・渡辺広明氏:
キャッシュレス事業者はいままで大規模キャンペーンを行うなどして、陣取り合戦をおこなってきたんですね。しかし、この新型コロナの状態でお店と寄り添っていくような形をきちんととらなければならない、ウィンウィンの関係を構築する形になってきているのだと思います。

三田友梨佳キャスター:
感染防止の観点からキャッシュレスのニーズは高まってきていると思うのですが。

マーケティングアナリスト・渡辺広明氏:
コロナの感染防止にはキャッシュレスは有効で、通常の接客時間の2/3から半分の時間で接客できるので、当然お客様との接触を防げますし、エッセンシャルワーカー、従業員の感染も防げるので大変大切だと思います。それに、今後小売り飲食業は人手不足で、どんどん従業員が足りなくなる可能性が高いので、これを機に、一気にキャッシュレスは広めていくべきだと考えています。

三田友梨佳キャスター:
私たち使う側にとっては利便性だけではなく、衛生面の安全性を兼ね備えているキャッシュレスですが、今後さらにすすめていくには、資金繰りで大変な思いをしているお店側の負担を軽減する取り組みも含めて、利用者とお店側が利用しやすい関係の構築が重要となりそうです。

(「Live News α」5月5日放送分)