主婦暴行死事件 11回のSOS…捜査に残る疑問

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10月23日に開かれた佐賀県警本部の定例会見。
県警トップの杉内由美子本部長(51)が「あの事件」について何を語るのか、大きな注目が集まった。

ところが…

佐賀県警・記者会見担当者:
その他の質問に移らせていただきます。これからは静止画・動画等のカメラを止めていただきたい

2019年10月。佐賀・基山町の主婦、高畑瑠美さん(当時36)が、バタフライナイフや割り箸で下半身を突き刺されたほか、木刀などで殴られる暴行を繰り返し受けたとされ、外傷性ショックで死亡した事件。

この事件では、山本美幸被告(41)や田中政樹被告(47)ら3人が、傷害致死などの罪で起訴された。

山本美幸被告:(脅迫の録音音声)
あなたに貸したお金はきちんと返済してくださいと約束しておりますので、返済をして下さい

田中政樹被告:(脅迫の録音音声)
弁護士入れたところで@×▼★□@×▼★□。やれるもんやったらやってみ@※▼□@※▼□

事件前、佐賀県警鳥栖警察署は、瑠美さんの家族から、山本被告の恐喝や瑠美さんが山本被告にマインドコントールされ、自宅に帰らないことなどを再三に渡り相談されていた。

しかし…

鳥栖署で相談を受けた巡査:(録音された音声)
現時点で5分間くらいしか聞いていないが、もし、これで被害届を言われたいというのであれば、今から3時間聞くのも、あれだと思うので…

瑠美さんの家族によると、鳥栖署の担当巡査は、山本被告らから脅迫される電話音声を5分しか聞かず、被害届の提出を断った上、内容を文字に起こし、どの部分がどういう犯罪に当たるのか付箋を付けてくるよう言ったという。

家族が鳥栖警察署に相談したのは4カ月間で11回。
しかし、警察はそのSOSに耳を傾けず、事件が起きてしまった。
のちに福岡県警は、同じ音声を証拠に被告らを逮捕している。

なぜ、佐賀県警は捜査しなかったのか。
多くの疑問が浮かぶ中、警察庁の松本光弘長官は…

警察庁 松本光弘長官:
本件は誠に痛ましい事件でありまして、佐賀県警察におきまして、適切に対応していくものと認識しているところでございます

警察組織トップが「佐賀県警が適切に対応するだろう」とテレビカメラの前で異例のコメントをしたのだ。

佐賀県警本部の定例会見 注目の県警トップは…

そして開かれた10月23日の佐賀県警本部の記者会見。

県警側の発表案件が終わった後、担当者の口から飛び出した言葉は…

佐賀県警・記者会見担当者:
その他の質問に移らせていただきます。これからは静止画・動画等のカメラを止めていただきたい

カメラによる撮影はNG。
杉内本部長は口を閉ざしたまま。
代わりに質問に答えたのは、同席していた警務部長だった。

記者(サガテレビ):
鳥栖警察署の対応についてどう考えていますか?

鈴木警務部長:
事実関係の確認中ですので、現段階のコメントは差し控えます

記者(朝日新聞):
長官も警察のトップとして発言されているので、県警として、本部長が今の時点でどうお考えなか?

鈴木警務部長:
質問の意図は分かりますが、事実関係の確認をしている段階ですので…

記者(サガテレビ):
どういった形で回答する予定ですか?

鈴木警務部長:
本件は内容も複雑であることから、個別(取材)で聞いていただけたらと。今のところ全体で会見する予定はありません

記者(毎日新聞):
個別に、「あの件どうなりましたか?」と逐一聞いていかないといけない?

鈴木警務部長:
そうですね

佐賀県警のトップ・杉内本部長は、最後まで口を開くことはなかった。
佐賀県警が市民に真相を説明する日は、一体いつになるのだろうか。

(テレビ西日本)
 

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