年間100トンの食品ロス削減を目指して

ふわふわのチーズスフレに、カラメルソースがたっぷりかかったクリームパン。

魅力的な食べ物や土産品が並ぶ、JR東京駅のエキナカ商業施設だが、1年間で廃棄される食品は約100トンにのぼる。東京駅では、このフードロスの削減を目指してある取り組みが始まった。

JR東京駅のエキナカ商業施設
JR東京駅のエキナカ商業施設
この記事の画像(10枚)

午後10時、営業を終えたベーカリーで行われていたのは、売れ残った商品の袋詰め作業。

袋詰めされたパンは1kg300円で買い取られ、従業員が利用する休憩所へ移動。あらためてパンを机の上に並べると、東京駅で働く従業員に販売された。

売れ残った食材を東京駅で働く従業員に格安販売
売れ残った食材を東京駅で働く従業員に格安販売

この「レスキューデリ」と呼ばれる取り組みは、売れ残った商品を店舗から買い取り、東京駅で働く従業員に向け、格安で販売する仕組み。

この日は、通常6個で1800円ほどするパンが500円で販売され、気づけば仕事を終えた従業員の長蛇の列ができていた。

「レスキューデリ」
「レスキューデリ」

そして、販売開始からおよそ30分でパンは売り切れに。

フードロスの削減を目指して始まったこの取り組みだが、商品を購入した従業員や買い取ってもらったベーカリーも意外なメリットを感じていた。

「レスキューデリ」を利用する従業員
「レスキューデリ」を利用する従業員

廃棄処分を逃れた店、格安で購入した客の双方にメリット

商品を購入した従業員:
お客さまから「おすすめのパン屋どこ?」と聞かれた時に、「こういうのありますよ」とリコメンドにもつながる。

商品を買い取ってもらったベーカリー:
売れるべきパンを一袋にまとめて、生ゴミとして捨てているので、駅を使うお客さまにもあまり良い印象は持たれないとは常々思っていました。パンを捨てていないというところで、ブランドイメージも良いのではないかと。

商品を買い取ってもらったベーカリー
商品を買い取ってもらったベーカリー

さらに、本来食べられるにもかかわらず捨ててしまっていたパンを再び商品としてよみがえらせることで、職人のモチベーションアップにもつながるという。

さまざまなメリットが見えてきたこの取り組みについて、担当者は…

鉄道会館 経営企画部 播田行博課長:
JR東日本グループの商業施設で、こういった取り組みを広げていければいいかなと。これをさらにブラッシュアップさせて、当社だけに限らず他の商業施設にも広がるようなサービスを確立したい。

企業はニーズを精緻に把握して“作り過ぎない”努力を

三田友梨佳キャスター:
こうしたフードロスへの取り組みは、加速させていきたいですね。

株式会社ビザスク代表取締役CEO 端羽英子氏:
フードロスというとやわらかく聞こえますが、大量の食料品をごみとして捨てているわけですから、持続可能な社会をつくるためにも、これは何とかしなければいけない課題だと思います。

端羽英子氏
端羽英子氏

三田友梨佳キャスター:
フードロス対策を進めていくために、端羽さんはどんなことが大切かと考えていますか?

株式会社ビザスク代表取締役CEO 端羽英子氏:
1つには、フードロスの「もったいない」ということがビジネスになる。課題が大きいのでビジネスチャンスがあるところだと思いますし、もう1つは、そもそも作り過ぎない。フードロスを出さないために、例えば企業であれば、データをさらに活用して、ニーズを精緻に把握していく、そんな努力も必要だと思います。

三田友梨佳キャスター:
そして、私たち消費者も気持ちを改めなければいけない部分がありますよね。

株式会社ビザスク代表取締役CEO 端羽英子氏:
過剰なサービスや品ぞろえを期待しすぎることなく、どこまで私たちが意識を変えていけるかというものも大事なことだと思います。

三田友梨佳キャスター:
食べ物を無駄にしないという意識はあっても、なかなか行動に移せないということも多いと思いかもしれません。1人ひとりの積極的な取り組みが求められます。

(「Live News α」1月15日放送分)