多くの人に愛された人柄 仙台からも悲しみの声…

プロ野球、東北楽天ゴールデンイーグルスの元監督・野村克也さんが2月11日、84歳で亡くなった。楽天創設2年目から4年間監督を務め、ファンに勝利を届けたいと闘い続けた野村さん。東北・宮城にたくさんのものを残してくれた。

ーー2019年の楽天については?

野村克也さん:
補強も大事だが、教育も大事。選手をどう教育するか。(選手の)考え方が変われば取り組みが変わる。教育は大事ですよ

この記事の画像(11枚)

これは、3カ月前の2019年11月、仙台放送が取材したインタビュー。

野村克也さんは11日午前3時半、東京都内で亡くなった。84歳、死因は「虚血性心不全」だった。

仙台市内の声:
野村さんが来てからの星野さんなので、野村さんは楽天の礎を築いてくれた方ですね

南海、ヤクルト、阪神で監督を務め、2006年シーズンから楽天2代目監督(2006~2009)に就任した野村さんだったが、監督初年度は最下位だった。

野村克也さん:
しゃべることないわ。まぁ~二軍戦ばかりやらされてホンマに...

そんな中、野村さんが日々、口にする選手やファンに向けた不器用な愛情表現、いわゆる「ぼやき」に注目が集まった。

仙台市内の声:
ぼやきが聞きたくてプロ野球ニュースを見ていた。ノムさんが何て言うか、楽しみにしていたので残念

田中将大投手からも追悼のツイート

そんな野村さんが出会った才能が、田中将大投手だった。

野村克也さん:
マー君、神の子、不思議な子。神様、仏様、田中様~。稲尾2世ができたな

入団以来、野村さんが大切に育てた田中投手は、期待に応えてメキメキと頭角を現し、野村さんの監督通算1500勝がかかった大一番でも、見事なピッチングを披露。ウイニングボールを監督にプレゼントした。

野村さんの死去を受け、田中投手が自身のツイッターにメッセージを寄せた。

田中将大投手(ツイッターのメッセージ):
突然の訃報に言葉が出ません。野村監督には、ピッチングとは何か、そして、野球とは何かを一から教えていただきました。プロ入り1年目で野村監督と出会い、ご指導いただいたことは、僕の野球人生における最大の幸運の1つです。どんなに感謝してもしきれません

難病と闘う女性に…大舞台を用意

2009年、難病と闘い、車いす生活を送る仙台市の女性を励まそうと、野村さんの計らいで始球式が行われた。

遠藤早苗さん(旧姓・沼田):
緊張のあまり記憶にない。頭は真っ白でした

遠藤さんは、2人のレジェンドに支えられながら、見事、始球式を終えた。

遠藤早苗さん(旧姓・沼田):
(野村さんは)病気のある人にチャンスをくれた。表舞台に立ったところを見てもらうため、いい機会だったと思う

さらに後日、職場の仙台三越に野村さん本人が訪れ、わざわざ写真を届けてくれたという。

遠藤早苗さん(旧姓・沼田):
始球式というチャンスを与えてくれたし、偉大な功績を残した有名な人が、わざわざ足を運んで会いにきてくれるということがすごくうれしかったです

野村さんの教えが原動力に 「野球を好きになりなさい」

野村さんの真骨頂は、伸び悩む選手を鍛えて、貴重な戦力に化けさせる、いわゆる「野村再生工場」。山﨑武司さんもその1人。

山﨑武司さん:
自分が野球が大嫌いになって、『二度と野球なんてやるもんか』と思った時に、野村元監督と出会ったので。野村さんの教えの中で『野球を好きになりなさい』と。『お前が小学校で野球を始めた時に大好きだっただろ』と。『日が暮れるまで野球やって本当に楽しかっただろ』と。『その気持ちでまた臨みなさい』と言われたんです。頑張っている選手を何とかしてやりたいというような方だった

楽天での集大成 両チームからの盛大な胴上げ

そして、楽天監督最後の年、2009年。

野村克也さん:
何としても、日本一になって皆さまに恩返しをしたい

この年、野村楽天は2位にまで躍進。球団史上初のクライマックスシリーズに進出したが、野村さんの監督退任は、この時点ですでに決まっていた。

野村克也さん:
敗戦監督がこんなに囲まれることないぞ。就職お願いします。あすから浪人です。仙台でどうしても日本シリーズをやりたい夢があったんだけど、それが果たせなかったことが一番残念。仙台のファンの皆さん、ごめんなさいね

20年以上におよぶ監督生活、最後の瞬間。長嶋茂雄さんも、王貞治さんも、経験したことがないという、相手チームも加わった盛大な胴上げとなった。

亡くなる3カ月前のインタビューには、今なお、楽天と宮城のファンのことを気にかける野村さんの姿が見て取れた。

野村克也さん:
東北の人というのは、お人好しの人が多いからね。だからまぁ(楽天を)長い目で見てやってください

(仙台放送)

仙台放送
仙台放送

宮城の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。